菅直人氏 安倍政権による資料隠しは薬害エイズ事件より一層悪質

 元首相の菅直人氏が29日、ブログを更新し、安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」の招待者名簿を、内閣府が「廃棄した」と主張していることについて「そんなことはない、と断言できます」と記した。根拠は、薬害エイズ事件のときに官僚が「ない」としていた資料がついに出てきたからだとしている。

 菅氏はブログのタイトルを「政府の情報公開と薬害エイズ事件」とし、「安倍政権になって、政府の情報隠しが極めてひどくなっていると、多くの皆さんが感じていると思います」と安倍政権の姿勢を概括した。続けて、「『桜を見る会』の招待者名簿などの資料について、内閣府は何度となく『廃棄した』と繰り返していますが、そんなことはない、と断言できます」との考えを示した。根拠に「かつて厚相として薬害エイズ事件に取り組んだ経験からすると、重要な資料を官僚が自ら廃棄することは、まずあり得ません」とした。

 菅氏は「当時のことを少し詳しく説明します」として、薬害エイズ事件について「血友病の治療のために使われていた非加熱製剤にエイズウイルスが混入していたことから、多くの血友病患者がエイズに感染して亡くなった事件のことです。非加熱製剤の原料として米国から買ってきた血液に、エイズ患者の血液が混入していたために起きた悲劇でした」と振り返った。

 菅氏は「厚生省(当時)や製薬会社は『患者さんには気の毒な事をしたが、当時はエイズの原因がまだよく分かっていなかった。責任はない』という態度でした」と記した。しかし、「その時、厚生省はすでに非加熱製剤の危険性を認識していました」と指摘した。

 菅氏は「しかし厚生省は、その後も非加熱製剤を使い続けることを容認し、そのため被害が拡大してしまいました。この問題はやがて訴訟になりましたが、厚生省の官僚は、歴代の大臣が研究班に関する資料の提出を求めても『確認できません』とその存在を否定し続けました」と官僚の対応を記した。

 菅氏は「厚生大臣に就任する前からこの問題に取り組んでいたので、就任早々、厚生省に調査委員会を作ろうとしました」という。すると、当時の事務次官が「大臣が知りたいことは何でもお知らせします。『調査委員会』といった正式な組織を作るのは勘弁してほしい」と泣きついてきたという。

 菅氏は「私が個人的に知りたいと言っているのではない。国民の多くがおかしいと感じているのだから、きちんとした調査委員会を作って調査するように」と指示した。すると、「調査委員会ができて10日ほどが過ぎたある日、厚生省の薬務局長が『資料が見つかりました』と言ってきました」と「ない」としていた資料が10日で出てきたことを振り返った。

 菅氏は「関係者は資料があることを知っていた。厚生省の官僚や、製薬会社に天下っているOBの責任が問われるのを免れるために『資料はない』と嘘を言い続けていたのです」との見解を披露。

 菅氏は「安倍政権による資料隠しは、安倍晋三総理ら政治家が、自分たちの責任を追及されないように官僚に忖度させて隠しているわけです。国民を代表して官僚を監督する側の政治家が、自らの責任が問われるのを免れるために、結果として官僚に資料隠しをやらせている。これは、薬害エイズ事件より一層悪質な問題だと思っています」と記した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス