頭脳警察 50周年アルバムを語る(後)復活のきっかけになった歌「R★E★D」

 過激な歌詞のためアルバムが相次いで発禁になったり、新左翼系のイベントに出演したりするなど反体制の象徴でもあったPANTA(69=ボーカル、ギター)とTOSHI(69=パーカッション)の伝説的ロックバンド「頭脳警察」が、12月で結成50周年を迎える。9月18日に発表した50周年記念アルバム「乱破」を語るインタビュー、その後編は新曲と代表曲を直結させた成り立ちについて。

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 「乱破」は前半が新曲、後半が代表曲のセルフカバーで、中間にPANTAのソロ曲のカバー「R★E★D」が置かれた。「ソロで大事にやってた」曲を「なぜ頭脳警察でやるか」。PANTAは、1990年の再結成の呼び水になった曲だからだと説明する。

 「REVOLUTION、EVOLUTION、DEVOLUTION(革命、進化、退化)の頭文字をとって『R★E★D』なんだけど。『R・E・D』というアルバムを、架空の映画のサントラ盤という想定で(86年に)作りました。

 その後で『プラハからの手紙』(87年)という12インチシングルを出して、その勢いで『クリスタルナハト』(同年)を作りました。本来ならば『マラッカ』(79年)の後で作ってなきゃいけなかったんだけれども、当時『なんとなく、クリスタル』とかがはやってて。難しい時事ネタとか政治問題がからんでるんで、準備期間が必要だなって。

 その(『クリスタルナハト』の)頃にやってる曲が『R・E・D』から『プラハからの手紙』、『クリスタルナハト』の曲ってやってる時に、他の曲が全然入れられない。頭脳警察の曲が一番しっくりきたのね。もうそういう時期なのかな、75年に解散する時は再結成なんて考えたこともなかったけど、こういう時期が世の中来てるのかな、望まれてるのかなって。TOSHIに電話して『どうだい?』って言ったら『1年待ってくれ』と。その間に『P.I.S.S.』(89年)っていうアルバムを作って、90年の再結成に向かうのね。そのきっかけになった曲だから、やっぱり入れるべきなんだろうって」

 「R★E★D」の後は代表曲が並び、今年亡くなったロック歌手・内田裕也さんがカバーして裕也さんの代表曲となり、映画のタイトルにも使われた「コミック雑誌なんかいらない」も収録。PANTAは「言わずもがなで、やるしかない」と追悼の意を明かし、「彼、必ず二番から歌い出した。彼は映画が好きだから、『俺のまわりは映画のスクリーン』っていうの(歌詞)を『テレビのスクリーン』に変えてんだよ。裕也さん、テレビはスクリーンじゃねえんだけど」と笑った。

 また、「さようなら世界夫人よ」には、72年のオリジナル録音に参加したシンガー・ソングライターの吉田美奈子が、コーラスで参加している。

 「セカンドアルバムのレコーディングの時に、いつも本を抱えた少女が来てたわけ。フルート吹くってんで『じゃあ吹けよ』って言って吹いたのが『さようなら世界夫人よ』なんだけど、それが吉田美奈子だったの」

 2017年、中津川の音楽イベント「THE SOLAR BUDOKAN」で「40何年ぶり」に再会、50周年アルバム参加を依頼したという。

 往年の名曲、代表曲群は今もリアルで、生々しい怒りと叫びに満ちた新曲で構成された前半から、ストレートにつながっているように聴こえる。

 PANTAは「『銃をとれ!』を入れちゃってもおかしくなかったんだよね。『誰が大地を汚したのか』と。全く今のね、福島(第一原発事故)以降の日本にそのまんま当てはまる歌になっちゃってるから。過去の歌が今に通用するのは、ある意味、嘆かわしいことなんだけどもね」と、皮肉な現状をぼやいてみせた。

 ◇頭脳警察結成50周年ライブ 11月25日=東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE

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