菅井きんさん急死、亡くなる前日まで普通に生活していた 「生涯現役」願うも…

 時代劇「必殺」シリーズなど、テレビや映画の名脇役として親しまれた女優の菅井きん(すがい・きん、本名佐藤キミ子=さとう・きみこ)さんが10日午後2時、心不全のため東京都内の自宅で死去したことが23日、分かった。92歳。所属事務所が発表した。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は女婿の三上登(みかみ・のぼる)氏。偲ぶ会などを行う予定はないといい、所属事務所は「だいぶ(現場から)遠ざかっていたので」と説明した。

 所属事務所によると、菅井さんは、2010年、84歳の時に自宅で転倒し大腿骨を骨折した後は、「家に1人でいると危ない」と特別老人ホームに入所。年齢のせいで食は細くなったものの、持病などもなく、好きなたばこをたしなむなど、亡くなる前日の9日まで普通に生活していたという。だが、10日に急に体調が悪くなり、家族に見守られながら静かに旅立った。

 菅井さんは東京都出身。戦前は文部省、東京帝大の職員として勤務していたが、戦後、東京芸術劇場研究生となり、1947年に初舞台を踏んだ。

 若い頃から老け役を務め、庶民的で一本筋の通った老女を演じることが多かった。素顔の菅井さんは、現代的でさっそうとした、気っ風の良い女性だった。

 黒沢明監督の「生きる」「赤ひげ」や本多猪四郎監督「ゴジラ」、川島雄三監督「幕末太陽伝」など数多くの映画に出演。「必殺」シリーズでは藤田まことさんが演じた中村主水のしゅうとめを演じ、「婿殿!」のせりふがお茶の間で大人気となった。

 2008年の「ぼくのおばあちゃん」では82歳で映画初主演を果たし、「最高齢映画主演女優」のギネス記録に。ギネスの認定書を手渡された菅井さんは「ピンと来ないです」と照れくさそうな笑顔を見せ、「張り切り過ぎちゃって、抑えるのに苦労した」と主演の喜びを明かしていた。

 NHK連続テレビ小説「瞳」、舞台「三ちゃんと梨枝」、CMでも活躍した。最後に出演したドラマは10年のNHK大河「龍馬伝」。大森南朋が演じた武市半平太の祖母役だった。「生涯現役」と度々口にしていたが、その後、大腿骨を骨折したことで歩けなくなり、俳優活動から離れた。14年秋にテレビ番組の取材に応じた際には車いすで、「体が動かないとどうにもならない」などと話していた。

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