是枝監督 カンヌ最高賞パルムドール 「万引き家族」で日本作品21年ぶり快挙

 世界三大映画祭の1つ、「第71回カンヌ国際映画祭」の授賞式が日本時間20日(現地時間19日)にフランスで行われ、コンペティション部門に出品されていた是枝裕和監督(55)の「万引き家族」(6月8日公開)が最高賞となるパルムドールを受賞した。

 日本の作品では1997年、今村昌平監督の「うなぎ」以来21年ぶりの快挙。緊張の面持ちで登壇した是枝監督は「さすがに足が震えている。この場にいられることが幸せ」と喜びを表現した。

 是枝監督が快挙を達成した。「今年のパルムドールはコレエダ…」。審査委員長の女優ケイト・ブランシェット(49)が監督・作品名を読み上げると、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。

 信じられないという表情を浮かべ、ブランシェットからトロフィーを受け取った是枝監督は「うわぁ」と声を漏らした。「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せ。この映画祭に参加していつも思いますが、映画を作り続けていく勇気をもらいます」と感謝した。

 作品は夫婦役のリリー・フランキー(54)と安藤サクラ(32)のW主演。樹木希林(75)演じるおばあちゃんの年金を頼りに、子供に万引きをさせながら暮らす一家のきずなや秘密が描かれる。会見で各国の記者から祝福された是枝監督は、日本的なものは意識していないが「今の日本社会の中で隅に追いやられ、見過ごしてしまうかもしれない家族の姿をどう可視化するかは考えます」と作品に込めた思いを語った。

 ベネチア、ベルリンと並び称されるカンヌで、日本作品にとって21年ぶりとなる偉業。発表を待つ間の心境を「発表順が分からず、気がつくとグランプリとパルムドールしか残っていなかった」と振り返った。タキシード姿でトロフィーを持ったまま取材対応し、「すごく重いんですよ。腕がカチカチ」と幸せそうな笑顔を見せたが、浮かれてばかりではない。巨匠と肩を並べた55歳は「別の意味でもこれをいただくのは本当に重たい。これをもらった監督として、恥ずかしくないものを作らなければならないという覚悟を、また新たにしています」と気を引き締めつつ、先を見据えた。

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