A.I.がラジオを救う?TBSが奇抜な新番組 業界全体で聴取率ダウン傾向

 テレビに視聴率があるように、ラジオには聴取率というものがある。2カ月に1度の偶数月に1週間をかけて、どれぐらいの割合の人がラジオを聞いていたかビデオリサーチ社が調査している。首都圏の8月期調査では、AMのTBSラジオが01年8月期から97期連続となるトップを守った。しかし、9月27日の定例記者会見に出席した入江清彦社長の顔は決して明るくはなかった。

 「TBSラジオは首位を確保し16年2カ月連続のV97を達成したものの…」。この後に告げられた聴取率の低さがラジオ業界にとっては深刻なものになっている。「前回6月期の調査、0・9%から0・1ポイント下げて0・8%となり、ラジオ全体のセッツインユースは前回の5・6から5・2と大きく下げる大変厳しい結果でした」。簡単に言うとラジオ人口が数万人規模で減ったということになる。

 基本的に8月の夏休みシーズンは一般的に数字を下げるという。今年は夏の甲子園で埼玉県の花咲徳栄が優勝したため、テレビの高校野球中継に数字を持っていかれた…とする分析もあるというが、入江社長は「細かい言い訳」と切り捨てる。「ボリューム層であります男性の50歳から69歳の、M3層のダウンが大きな原因となっている」と、以前からターゲットにしていた層がラジオ離れを起こしているとも懸念した。

 そんな中、プロ野球のシーズン中はナイター中継が行われている平日夜の時間帯に、実験的な番組を編成する。10月3日スタートの「THE FROGMAN SHOW A.I.共存ラジオ 好奇心家族」(火~金曜、午後5時50分)だ。個性派アニメ「秘密結社 鷹の爪」を生み出したFROGMANがパーソナリティーを務めるが、目玉は「人工知能犬・ドッチくん」の出演だ。

 「ドッチくん」はJetrunテクノロジ社の技術協力による「会話特化型音声A.I.(人工知能)」で、番組中では「天気予報やニュースを伝える。選曲までさせたりする」(入江社長)と重要な役割を務める。A.I.は日々、成長することも特徴で、予定されている半年間の放送でどれだけ成長するかも見どころだという。

 ただ、ラジオなので「A.I.がしゃべっているのか、誰か他の人物が吹き込んでいるのか、聞き分けがつかないのでは?」という指摘も会見では飛んだ。入江社長は「まだまだ手探り状態なので、どんな感じになるか聞いてみないと分からない」と率直な胸の内を明かした。果たして、A.I.がラジオの救世主になるだろうか。(聴取率はビデオリサーチ社調べ、TBSラジオの発表)

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