鷲尾真知子、悲しみこらえ女優魂 夫・中嶋しゅうさん死因は「急性大動脈解離」

 初日公演で熱演する(手前左から)大地真央、鷲尾真知子=東京・明治座
 舞台を終えタクシーで引き揚げる鷲尾真知子(撮影・開出牧)
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 俳優の中嶋しゅうさんが6日に東京芸術劇場シアターウエストで行われた舞台「アザー・デザート・シティーズ」の出演中にステージから転落し、搬送先の病院で亡くなった。69歳。検視の結果、死因は急性大動脈解離と判明した。妻で女優の鷲尾真知子(68)は7日、悲しみをこらえ、東京・明治座で初日を迎えた舞台「ふるあめりかに袖はぬらさじ」に出演した。「アザー-」は11日までの中止が決定。以後は未定だが、主演の寺島しのぶ(44)ら出演者は中嶋さんの思いを背負い、上演再開を希望していることが分かった。

 ショックは計り知れない。それでも、鷲尾は女優としての務めを全うした。愛する夫の突然の死から13時間も経たない午前10時45分ごろ、車で明治座に到着。正午からの舞台に出演した。横浜の遊郭「岩亀楼」の使用人・お咲役。外国人からもらったチップを自慢しながらほくそえむなど、コミカルな場面もこなし、笑いを誘った。

 カーテンコールでは、主演の大地真央(61)が「どんなに雨が降る日があっても、必ず晴れる日は来ます。8月6日まで、出演者一同、頑張りたいと思っております」と鷲尾を意識したかのようにあいさつ。鷲尾は目を赤くしながら、客席に向かって笑顔を見せた。終演後は無言で会場を去った。

 鷲尾は7日未明、所属事務所の公式サイト内でコメントを発表。「今はただ、千秋楽まで、無事に務め上げることに集中したいと思っています。中嶋もそうすることを一番に願っていると思います」と悲しみをこらえ、舞台へ向かう決意を示していた。

 6日が初日公演だった中嶋さんと、1日違いでのスタートとあって「互いに励まし合いながら、ここ数週間を共に過ごして」来たと夫婦の絆を告白。思いも寄らぬ形での別れに「まだ信じられない気持ちの中におります」と正直な心境もつづった。2人は同じ劇団NLT出身。関係者によると、連れ添って30年以上になるという。

 中嶋さんは6日の公演中、立ち上がった際にステージ上から転落した。心臓マッサージなどが施された後、病院に救急搬送されて治療を受けたが、同日午後10時に亡くなった。所属事務所は7日、検視の結果、死因が「急性大動脈解離」と判明したことを公表。発症後に転落したとみられることが分かった。葬儀・告別式などの日程は未定となっている。

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