加藤一二三九段が現役引退会見「大変スッキリした」 63年の棋士人生に幕

現役引退で会見する加藤一二三九段=将棋会館
現役引退で会見する加藤一二三九段=将棋会館
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 今月20日の対局で62年10カ月のプロ棋士人生を終えた、将棋の加藤一二三九段(77)が20日、東京・将棋会館で引退会見を行った。

 黒のスーツ姿に、腰の下まで下がったネクタイという、普段通りの姿で登場した加藤九段。63年の棋士人生に幕をおろすことに万感の思いを込めた表情で「皆様、こんにちは。これから引退の記者会見を行います。」と切り出し、現在の心境を「大変スッキリした気持ちです。これからも今まで通りやる気を失わないで、元気よくこれからの人生を歩んでいく気持ちですから」と説明した。

 これまでの一番の思い出について加藤九段は「昭和57年、中原名人に勝って念願の名人になったのが一番の思い出」とよどみなく答えた。「私が95%負けていたのに逆転勝ちした」と振り返った。

 加藤九段は1954年、14歳7カ月の若さで四段に昇段し、史上初の中学生棋士に。昨年のデビューから無敗の29連勝を続けている藤井聡太四段(14)に塗り替えられるまで、史上最年少記録だった。デビュー初年度から順位戦で4期連続の昇級を果たし、18歳でA級入りするなど、「神武以来の天才」と称された。昨年12月には自身の最年少プロ記録を塗り替えた藤井四段のデビュー戦の相手も務めた。

 今年1月、順位戦C級2組で3度目の降級点を取り、フリークラスへの転出が決定。順位戦降格によるフリークラスは原則、60歳が定年となっており、加藤九段はその時点で引退が決定。残された昨年度の全棋戦で敗退した時点で、現役を去ることが決まっていた。

 20日に行われた第30期竜王戦6組昇級者決定戦で、高野智史四段(23)に敗れ、現役最後の対局を終了。その際は、感想戦を行わず、コメントも残さずに、用意していたタクシーで足早に将棋会館を後にするという“異例”の終局だった。

 相手が驚くほどの勢いで駒を打ち付ける、相手の背後に回って盤面を見る、ネクタイは常に腰より下までの長さ…といった、対局中の珍エピソードでも知られる加藤九段。とりわけ、食事へのこだわりは群を抜いており、基本的に対局時の昼食はうな重を貫いた。この日は朝食として、行きつけのカレー店でビーフカレー、チーズ盛り合わせ、コンソメスープを完食。相変わらずの健啖家ぶりを見せた。また、大の甘党としても知られており、「1日に板チョコを8枚食べる」と発言したこともあった。

 独特の言語感覚と奔放な発言で、最近はバラエティー番組などにも引っ張りだこ。「ひふみん」の愛称で、お茶の間の人気者となっている。一方で、敬虔なカトリック教徒でもあり、「パウロ」の洗礼名を持つ。86年にはローマ教皇から「聖シルベストロ教皇騎士団勲章」を授与された。

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