ポール 49年ぶり武道館ライブ

 元ビートルズの英シンガー・ソングライター、ポール・マッカートニー(72)が28日、東京・日本武道館でライブを行った。グループ時代の1966年から49年ぶりの“ゲット・バック”。当時も演奏した「ペイパーバック・ライター」「イエスタデイ」を含む全28曲中19曲がビートルズ曲という“武道館スペシャル”のラインナップで、日本武道館で初めてライブを行ったレジェンドが、ファン1万人と凱旋ライブを楽しんだ。

 ライブは、予定より1時間25分遅れてスタート。初期の名曲「キャント・バイ・ミー・ラヴ」。コーラスで曲が始まったその瞬間、地響きのような歓声が起きた。ポールが、いや、ビートルズが武道館に戻ってきた!ヤァ!ヤァ!ヤァ!

 ポールは、しばらく感触を思い出すかのようにステージを歩き回り、ガッツポーズ。「コンバンハ、トーキョー!ブドーカンヘヨーコソ。ヒサシブリ、ブドーカン」と日本語であいさつ。49年前にも歌った「ペイパーバック-」を演奏する前には「ナツカシイ…」とつぶやき、感慨深げだった。

 すべてが武道館スペシャルだった。すでに終了した今回の来日ツアーは京セラドーム大阪と東京ドーム。狭い武道館では同じセットを使えないため、特別なものを用意した。

 ポールにとっても悲願の舞台だった。14年5月に予定されていたライブは体調不良でキャンセル。リベンジとなった今回のツアーでも「僕にとってはいつまでも大切な思い出の場所」と武道館公演はポール自身の希望で実現した。

 1966年6月30日~7月2日の3日間で5公演行われた40分間たらずのステージは、混乱を避けるため、1階のアリーナには観客を入れず、場内には機動隊3000人を配備。観客は一切立つことが許されなかった。

 それから約半世紀。数々の日本のアーティストがあこがれ、演奏してきた聖地に育った武道館は、ライブ開始前からアリーナから2階席までが総立ちで主役を迎え入れた。「サイコー!」と拳を高々と挙げたポールの目にはどんな風に映っただろうか。

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