山田洋次監督に文化勲章「寅さんに…」

 政府は30日、2012年度の文化勲章を映画監督の山田洋次氏(81)らに贈ることを決めた。また、文化功労者に俳優・松本幸四郎(70)、宮崎駿監督(71)らを選んだ。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同5日に都内のホテルで行われる。

 都内で会見した山田監督は、監督生活51年での名誉に「映画人の1人としてうれしいことなので、代表として、日本映画のために受け取ろうという気持ちです」と喜びを語った。

 市井に生きる人々のそばに立ち、その日常をスクリーンに映し続けてきた。格式高い勲章には面食らっていると明かし「寅さんなら『それ、何だい?出来損ないが主人公の映画を作って、そんな立派なもの、もらっていいのかい?』と冷やかすでしょうね」と照れた。

 「何といっても『男はつらいよ』シリーズはライフワークです。だから渥美さんと別れた時は大きな転機だった」と監督。96年に渥美さんが他界しシリーズが48作で終了した時は、監督生活に終止符を打つことも考えたことも明かした。

 来年1月には新作「東京家族」の公開が控える。映画への情熱は衰えないが、いまの喜びを伝えたいのはやはり天国にいる盟友。「渥美さんが生きていたら、と思います。渥美さんがいたら、喜んでくれたでしょうね」と静かに語った。

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