桜井心那 2年ぶり優勝 仲良し吉田弓美子キャディーの“圧”でスーパーショット決め最大6人のPO回避「本当に心強かった」
「女子ゴルフ・CATレディース・最終日」(24日、大箱根CC=パー72)
初日から首位に立った桜井心那(21)=ニトリ=が3バーディー、3ボギーの72にまとめ、通算9アンダーで2023年10月の富士通レディース以来、2年ぶりの優勝を果たした。ツアー通算5勝目。1打差の2位に木戸愛、藤田さいき、桑木志帆、神谷そら、永井花奈が入った。
18番パー5のティーに上がったとき、桜井はキャディーの吉田弓美子から「早く帰りたいんだから。分かっているよね」と言われた。この時点で、最大6人のプレーオフになりそうな状況。勝ち切るにはバーディー以上が必要だ。尊敬する先輩からの厳しくも温かい圧力を受けて心拍数が上がったというが「それならここで決めてやる」とドライバーを一振り。3日間で一番飛んだ270ヤードのビッグドライブとなった。
第2打をグリーン左のバンカーに入れた後の第3打は残り12ヤード。「心那なら絶対できるよ。うまいんだから」と言われ続けた言葉を思い出した。緊張の中のバンカーショットはピンそば50センチへ。2シーズン前に4勝したときは泣いたことがなかったのに、ウイニングパットが決まると涙が出て、吉田と抱き合った。
ツアー通算7勝の吉田は17歳離れた先輩だが、毎年ディズニーランドや食事に行くなど姉妹のように仲がいい。今オフに食事に行った際、何げなくキャディーを依頼すると、気軽に引き受けてくれた。19歳のとき、立て続けに4勝してツアーの新エースと期待されたが、昨季は期待に押しつぶされて未勝利。ポイントランクは28位に下がった。クラブや球筋を変えてみたが、うまくいかない。そんな現状から抜けたいという思いからのオファーだった。
「弓美子さんは本当に心強かった。これで一歩踏み出せる。時間が動き出した感じがする」。今はホッとした気持ちの方が強い。それが涙の理由だ。お礼はまだ決めていないが「また遊びに行きたい。ちょっとぜいたくな感じで」と打ち明けた。かけがえのない時間のお返しが楽しみで仕方ないように話した。
◇桜井 心那(さくらい・ここな)2004年2月13日、長崎市出身。5歳でゴルフを始め、長崎日大高3年時の21年全国高校選手権の個人で優勝した。同年11月のプロテストに一発合格。22年シーズンは下部ステップアップ・ツアーで新記録の5勝を挙げて賞金女王に輝いた。2023年7月の資生堂レディースでツアー初優勝を挙げ、ツアー通算5勝。名前には「心が広く穏やかに」の願いが込められている。166センチ、62キロ。


