「女子ゴルフ・パナソニック・オープン・最終日」（４日、浜野ＧＣ＝パー７２）

　首位から出た菅沼菜々（２５）＝あいおいニッセイ同和損保＝が５バーディー、２ボギーの６９にまとめ、通算１０アンダーで２０２３年１０月のマスターズＧＣレディース以来となる３勝目を挙げた。６７と伸ばした大里桃子が１打差の２位。さらに２打差の３位に小祝さくら、仲村果乃、神谷そらの３人が入った。

　愛くるしい笑顔が帰ってきた。４０センチのパーパットを決めると、菅沼は力強く両腕を突き上げた。昨季は出場試合の半分以上で予選落ちし、シード権を失った。今季も大会前まで３試合に出場し、予選落ちが２回で最高は４３位。１年７カ月ぶりの戴冠に「諦めずにやってきて良かった」と実感を込めて話した。

　「ゴルフ場に行くのが嫌」。家族に漏らしていた頃とは、別人のような精神力の強さだ。１番で今大会初のボギーをたたいた後、２番で１０メートルのパットをねじ込んですぐに挽回した。

　３番から我慢の展開を強いられたが、９番でバーディー。１１、１２番は連続バーディーで勢いに乗った。２位と１打差で迎えた１８番のピンチもしのぎ切った。風の判断を誤りグリーンを外したものの、傾斜を読み切り、約２０ヤードを巧みに寄せた。後続を振り切り「今までやってきたことを信じて打った」と胸を張った。

　オフには１カ月半もゴルフから離れて、不調時の「悪い癖を消した」という。そして好調時の映像を参考にプレーをつくり直した。メンタルトレーナーの指導も受けた。

　前週は男子ツアーの『前澤杯』に推薦出場。「男子選手に迷惑にならないようにと早いプレーを心がけたら、調子がいい時のリズムを思い出せた」と打ち明けていた。成績は８９位と歯が立たなかったものの、初日には男子ツアーの女子選手最少スコアをマークするなど、復調へのきっかけをつかんだ。

　アイドル的存在でも話題を集める２５歳は、ファンへのアピールを常に意識する。「これからも上位に入って希望や勇気を届けたい」。大スランプ脱出を告げる復活の勝利。苦しみを味わい続けた分、キュートな笑顔を振りまいていく。