高校時代の恩師が語る具智元 高3時スクラムで社会人を“破壊”

 「ラグビーW杯、1次リーグA組、日本28-21スコットランド」(13日、日産スタジアム)

 A組は世界ランキング8位の日本が28-21で同9位のスコットランドに競り勝ち、初の8強入りを決めた。日本はA組を1位突破。20日の準々決勝でB組2位の南アフリカと対戦する。

 脇腹を痛めて無念の途中交代となったが、右プロップ具智元(グ・ジウォン、25)=ホンダ=の奮闘を抜きにして日本の躍進は語れない。9月28日のアイルランド戦では、スクラムで押し込んで反則を誘うプレーに感情が爆発した。韓国出身。中学3年時、2つ上の兄・智充(27)=ホンダ=とともに来日した。大分県佐伯市の日本文理大付高ラグビー部が、日本での原点。当時を指導した染矢勝義元監督(51)に話を聞いた。

 背番号3。具は右プロップでレギュラーを張る。父は「アジア最強」と言われ、本田技研鈴鹿(現ホンダ)でプレーした東春さん。父と同じポジションで、W杯でプレーする。

 「本人が3番にこだわるんです。お父さんと一緒。当時はロックでもナンバー8でもできそうな体形だったんですけどね」

 そう話す染矢さんは東春さんを「巨人の星の星一徹みたい」と言う。具は高校時代、来日時は直接指導、韓国滞在時は通信教育で父からたたき込まれた。

 「携帯電話で、スクラムの姿勢の動画を撮るんです。構えから肘の位置から。それを韓国に送る。電話で『こうしたほうがよくなる』って言ってくる」

 入学時は180センチ以下だったが、体重は100キロ超。すぐに頭角を現した。

 まず、才能。

 「高1のとき国体予選で、後に全国優勝した福岡県相手にスクラムやセットプレーを安定させて7-10で前半折り返した。いけるなって思いました。無理させないように後半ベンチに下げたら、7-27で負けましたけど」

 次に、ど根性。

 「高1の5月の県大会で、足首を捻挫していた。ぱんぱんに腫れて。歩けないくせに『やれる』って。それで決勝まで出ました」

 そして、努力。

 「負けたくないという思いがあるので、オーバートレーニングくらいやり過ぎちゃう。ブレーキかけなきゃつぶしてしまうと、注意して見ていました」

 才能+根性+努力。この3つで基盤を作った高校時代。3年時に高校日本代表になった。大人に通用する力をつけていた。

 「スクラム練習を社会人のチームとやった。相手の1番の選手が190キロ以上あったんですけど、組んだらその後(勤務先の)市役所を4日休んだらしいですよ。脇腹にコルセット、首も動かなくなって。でもW杯代表が決まったとき、彼らが港に、具智元の垂れ幕を垂らしたんですよ」

 激しいアイルランド戦を終えて「体重?1キロ増えていました」と話した。恵まれた体。そこには、高校時代からの食伝説があった。

 大食い伝説。その1・替え玉10個

 「『ラーメンく~た』というチェーン店にお昼を食べた後にみんなで行って、『替え玉何個?』って言ったら、『10玉』って。スープがなくなって、足してもらっていました」

 その2・特別メニュー

 「佐伯ラーメンっていうご当地ラーメンがあるんです。太麺で豚骨醤油。高校の前にある『遊楽』で、大盛りっていうと2玉なんですけど、あいつのために3玉用のメニューができたんです」

 その3・W大盛り

 「一番お気に入りは『南国ラーメン』。午後がオフの土曜日は、昼ご飯を食べてから4、5キロ歩いて行くんですよ。大盛りチャーシューとご飯大盛りを食べて、また歩いて帰る。またおなかが減って、晩ご飯を食べる」

 その4・賞金稼ぎ

 「夏祭りで早食い競争があったんですよ。賞金が出るからプロテイン代にしようやって。すり身(※佐伯名物エソのすり身)、ぼくら、2つ食べたら腹一杯になるんですけど、それを2つ食べて、カレーの大盛りを流し込んで、コーラの500mlを飲んで、ダントツで一番でした」

 話を聞いて「佐伯ラーメン」に興味がわいた。取材後に学校前の「遊楽」へ。中太よりやや太めという感じか。こってりした豚骨醤油は口に合う。まだ腹七分目だったので、そのまま「南国ラーメン」に行く暴挙。スープは「遊楽」より濃厚だった。好みは…。

 具選手に報告。「どっちがおいしかったですか?」と聞かれて「南国」と即答。すると「僕もです!」と笑顔を見せてくれた。ラーメン大好きぐーくん。実は体のケアを考えて、W杯が終わるまでラーメン断ちしている。

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