羽生結弦さんが語る3・11への思い「いろんな傷を抱えて生きてきたからこそ、表現できると思った」 NHK東日本大震災15年震災伝承ソング『幾重』コラボ企画
五輪2大会連続金メダリストの羽生結弦さんとNHK東日本大震災15年震災伝承ソングで人気デュオ「ゆず」と音楽家の原摩利彦氏が手がけた『幾重』とのコラボ企画が11、12日にNHK仙台「てれまさ」で放送される。それに先立ち、5月31日には羽生さんの取材会が行われた。震災を経験した羽生さんが『幾重』とコラボレーションしたプログラムに込めた思いを語った。
「聞けば聞くほど、いろんな思いやいろんな人生が見えてくる。それに寄り添わなきゃと思った」
楽曲を聞き、『幾重』という言葉から感じ取ったのは「1人の人生の中で15年という月日が幾重にも重なって地層のようになっているということ。いろんな方々の15年が地層として重なっているような2つの意味」。何層にも重なった水色と白の衣装で、時に繊細に、またある瞬間は力強く。4種類の3回転ジャンプを組み込んだプログラムは、「幾重にも重なるセッションがあって、僕の思いを重ねていこうと思った。少しでも平穏な未来が訪れるようにと祈りを込めた」と、鎮魂の舞を披露した。
自身にもつらい記憶があるからこそ、伝えられることがある。「自分自身が仙台という地で被災して、いろんな傷を抱えて生きてきたからこそ、重ねてきた15年間を表現できると思った」。「ふたをしてきた自分もある」と目を背けてきた過去もあったが、「自分自身が未来に向かっていく姿を見せないといけない」と前を向く。『幾重』を聞いて、過去と向き合うきっかけになったともいい「手を差し伸べられるようになってきた。こんなことがあったと届けなきゃいけない義務がある。少しでも未来が明るくなるように」と、顔を上げた。
五輪2大会連続金メダリストとして「自分の演技や活動が活力になるのであれば、できる限りのことはしたい」という。使命を感じながら、自分自身も一歩ずつ進む復興への道。自身の「第1言語」だというフィギュアスケートで、「いろんな方の傷が優しくなれば」と、柔らかく笑った。
伝えたいのは、いろいろなものを失った現実ではない。「つらい記憶は押しつけたくない。景色は変わってしまったけれども、変わったことによっていろんなものが守られているとどんどん伝わっていけば」。新たな世代へ、伝承していく。
