53歳・葛西紀明 30年五輪目指す 9度目出場権逃すも現役続行宣言「諦めずにやる」 J3福島・カズからも刺激
「ノルディックスキー・ジャンプ・W杯」(18日、大倉山ジャンプ競技場)
五輪8大会連続出場の葛西紀明(53)=土屋ホーム=が、18年平昌五輪以来2大会ぶり9度目となるミラノ・コルティナ五輪出場を逃した。予選を112メートルの84・4点の56位で突破できずにW杯ポイント獲得を逃し、日本スキー連盟(SAJ)が定める五輪派遣推薦基準を満たせなかった。22年北京五輪ノーマルヒル金メダルの小林陵侑(チームROY)が2位、二階堂蓮(日本ビール)が6位、中村直幹(フライングラボラトリー)は13位となり、3選手の代表入りが確実となった。
レジェンドの辞書に「諦める」という文字は存在しない。まだ順位が確定していなかった試合中。五輪消滅を悟った葛西が取材エリアに現れ、口を開いた。
「なんとなく予想してた。この調子じゃ無理だろうなって」。それでも二言目には、すぐにこう続けた。「これで終わりじゃない。絶好調ならどこまで上にいけるんだろう?と期待感が持てる。(4年後の五輪は)狙いたいし、諦めずにやる。57歳?最高じゃないですか。カズさんもJリーグで頑張るって言うんで、僕もその道をたどっていきたい」。53歳で五輪を逃せば引退か…そうよぎった周囲の不安を笑い飛ばし、2030年フランス・アルプス五輪の挑戦を高らかに宣言した。
今季はW杯下部のコンチネンタル杯代表として海外転戦がスタート。しかし序盤から安定した助走姿勢をつくることに苦戦し、飛距離を伸ばせなかった。五輪代表を決める最終戦となった今回のW杯札幌大会の出場にはこぎつけたものの、好ジャンプはできず。2戦連続の予選落ちで、2大会ぶり9度目となる五輪出場は幻に終わった。
友人の誘いをきっかけに小学3年で始めたジャンプ競技。19歳で初出場したアルベールビル大会から平成開催の五輪には全て出場し、競技歴は40年を超えた。次の五輪は57歳で迎えることになるが、約10分間の囲み取材中、後ろ向きな言葉は一度も出てこない。むしろ「本音を言えばメダルは取ってほしくないけどね」と自身が立てない3週間後の五輪に臨む選手へ嫉妬心をのぞかせた。
「この4年で自分がどう変わっていくか期待しながら練習に励みたい」と、すでに次の夢舞台を見る葛西。レジェンドの挑戦は数字で縛れない。
◇葛西 紀明(かさい・のりあき)1972年6月6日、北海道下川町出身。10歳でジャンプを始め、88年に当時史上最年少でW杯(札幌大会)に出場。五輪に19歳で初めて出場した92年アルベールビル大会から、2018年平昌五輪まで冬季五輪最多の8大会連続出場。W杯優勝は17回で、最年長優勝(42歳5カ月)、最年長表彰台(44歳9カ月)、個人最多出場回数(579回)の記録を保持する。家族は妻と娘。177センチ、59キロ。
◆主な50代アスリート スポーツ界において50代で現役を続けている選手は多い。サッカー元日本代表FWでJ3福島に所属する三浦知良は2月26日に59歳になる。騎手では59歳の柴田善臣、来月58歳になる横山典弘、3月に57歳になる武豊らが勝利を重ねている。ボクシングの元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎は55歳で現役を貫いている。
50代で活躍した選手も多く、プロ野球では元中日の山本昌が2015年にNPB史上初となる50歳代(50歳1カ月)で登板。ゴルフでは、尾崎将司が2002年の全日空オープンで日本ツアー史上最年長となる55歳で優勝を果たした。
また、大相撲では元三段目の華吹(はなかぜ)が、2022年初場所を最後に51歳7カ月で現役を引退した。




