宇良との“関関戦”制した安青錦「我慢できて良かった」単独トップ大の里を1差で追う【大相撲九州場所】
「大相撲九州場所・6日目」(14日、福岡国際センター)
新関脇安青錦(21)=安治川=が5勝目を挙げた。入門前に相撲部で稽古を積むなど関西大とは縁深い。関西学院大出身の宇良(木瀬)との初対戦で実現した“関関戦”を寄り切りで制した。
安青錦は立ち合いもろ手で宇良を突き放した。頭を下げて押し合い、いなしに崩される場面もあったが耐えた。「自分より低い相手。焦らず少しずつ。我慢できて良かった」。左四つに組み止め、胸を合わせて力強く寄り切った。
戦禍のウクライナから角界入りを目指し22年4月に来日。親交があった関大相撲部の山中新大さん(現同大職員)を頼り、神戸の山中さん宅に下宿しながら関大、報徳学園で稽古を続け、同年12月に安治川部屋の研修生となった。関大の稽古場には安青錦の本名ヤブグシシン・ダニーロの名札が掲げられている。今年10月には関大OBらの呼びかけで大阪後援会が発足した。
関大と関学大による運動部試合の通称「関関戦」は、関西の学生スポーツ界ではおなじみ。夏には非公式戦ながら全運動部による対抗戦「総合関関戦」が実施されている。22年6月、試合勘を鈍らせないよう周囲が配慮し、安青錦は同対抗戦に出場予定だったが、直前の体調不良で見送られている。
宇良が関学大出身であることについては「自分は(関大に)入学していないので同じ風にしたら、ちょっと失礼になる」と冷静に語った安青錦。前日は若隆景の立ち合い変化に屈し初黒星。師匠の安治川親方(元関脇安美錦)から「食ったお前が悪い」と言われたが、それは自身も同じ思いだ。「悔しがっても意味はない。切り替えました」と再スタートを切った。
新入幕から4場所連続11勝。戦後では初の4場所連続2桁勝利で、所要13場所の新関脇は、年6場所制となった1958年以降では史上最速。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」とされ、三役2場所目の今場所は大関昇進の足固めとされている。
ただ、過去には照ノ富士ら平幕起点で大関に昇進した例がある。優勝など大きな結果を残せば、今場所後の昇進も夢ではない。無傷6連勝で単独トップに立った大の里を1差で追う安青錦。「しっかり頑張ります」と先を見据えた。





