千葉百音 GP初制覇 通算6度目ついに!全ジャンプ着氷で安定感抜群 自己ベストも更新し「すごく自信につながる」
「フィギュアスケート・スケートカナダ」(10月31日、サスカトゥーン)
女子で昨季世界選手権銅メダルの千葉百音(20)=木下グループ=がSPに続いてフリーもトップの合計217・23点でGP初優勝を果たした。フリー、合計は自己ベスト更新。第1戦フランス大会でGP初出場制覇の中井亜美(17)=TOKIOインカラミ=がSP4位、フリー3位で3位に入り、シリーズ上位6人によるファイナル(12月・名古屋)進出を一番乗りで決めた。男子SPで友野一希(第一住建グループ)は2位、三浦佳生(オリエンタルバイオ・明大)は4位。世界王者のイリア・マリニン(米国)が首位に立った。
ついに上り詰めた。最終滑走のフリーを演じ切ると、しばらく余韻に浸った後に珍しく何度も両拳を突き出した。モットーの「常に全力」を体現する千葉が、ファイナルを含めて通算6度目のGPで初の頂点。SPに続き、全ジャンプを着氷する安定感抜群の滑りだった。自己ベストを塗り替え「すごく自信につながる」と胸を張った。周囲も認める努力家が輝きを放った。
練習では一つのジャンプを5度連続で決めるまで繰り返す。「基本的なことを丁寧にやる」と感心する浜田美栄コーチが、頑張り過ぎを懸念して制止することもあるほどだ。そんな愚直な姿勢が実を結んだ。わずかに回転不足と判定されるジャンプはあったが、ステップとスピンは全て最高難度のレベル4。着実に得点を積み上げた。
2023年に故郷の仙台市を離れて京都に拠点を移し、世界のトップ選手へと飛躍を遂げた。順調な歩みに映るが、本人は「困難を感じてもがいて、脱出して仕上げた」と捉える。課題だった表現面は、バレエダンサーの指導で時に強く、時にはかなげな表情を模索。五輪の閉会式が開催されるイタリア・ベローナが舞台の「ロミオとジュリエット」で演技点トップと成果を示した。
第6戦フィンランディア杯(21~23日、ヘルシンキ)へ向けて「反省点をあぶり出して改善していきたい」とあくなき向上心を口にする。この慢心のなさが、さらなる成長につながる。
◇千葉百音(ちば・もね)2005年5月1日、仙台市出身。幼少期から羽生結弦さんと同じリンクで練習。京都府に拠点を移して浜田美栄コーチに師事した23~24年シーズンに全日本選手権2位、四大陸選手権初制覇、世界選手権に初出場して7位と躍進した。東北高から早大に進学して迎えた昨季にGPファイナル2位、世界選手権3位。156センチ。20歳。
◆フィギュアスケートのミラノ・コルティナ冬季五輪代表選考 各3枠の男女は全日本選手権優勝者が自動的に代表入り。2人目は全日本2、3位やGPファイナルの日本勢上位2人、全日本終了時で国際スケート連盟(ISU)公認のシーズン最高得点の上位3人から選ぶ。3人目は全日本終了時の世界ランキングや日本スケート連盟独自の国際大会ポイントの上位3人などを選考対象に加える。2枠のペアは全日本1、2位と、全日本終了時の世界ランキング、シーズン最高得点の最上位から総合的な判断で選出。日本の団体出場が決まった場合、アイスダンスはペアと同じ基準を適用する。
