錦富士 十両勝ち越し!再入幕して青森出身幕内在位142年継続記録死守へ全勝宣言 尊富士が全休でピンチ「途切れさせたくない」

 「大相撲秋場所・10日目」(23日、両国国技館)

 青森県出身で西十両3枚目の錦富士(29)=伊勢ケ浜=が藤青雲(27)=藤島=を突き落とし、勝ち越しを決めた。142年続く青森県勢の幕内力士。継続への望みを一身に背負い、来場所の返り入幕を狙う。幕内は横綱豊昇龍が若元春をすくい投げで退け、10連勝で単独トップを守った。琴勝峰を突き出した横綱大の里が1敗で追走。2敗で新小結安青錦、平幕の隆の勝、正代、竜電が追う。大関とりの関脇若隆景は平戸海に寄り切られ、痛恨の5敗目を喫した。

 ファンも分かっている。日に日に声援が大きくなる錦富士が勝ち越した。「うれしい。今日は喜んで、明日からまた頑張る」と前を向いた。

 頭で当たって右に開いていなし、突き落とした。先場所の休場理由、頸椎(けいつい)ヘルニアの状態を「怖さはある」としながら、頭でかます立ち合いを続ける。

 横綱6人を輩出した青森の誇りを担う。同県勢でただ一人の幕内、東前頭12枚目の尊富士は今場所全休の見込みで、十両転落が決定的。明治時代の1883年からの県勢幕内力士を継続するには、錦富士が再入幕するしかない。

 尊富士の休場が決まって以降、記録の危機が注目された。「僕や宝富士関もいるのに悔しい」と憤る一方、その重みを「1カ月以上場所がある感じ。想像のつかない領域。僕らで途切れさせたくない」と語った。

 青森出身の関係者も気が気でない。先代師匠の宮城野親方(元横綱旭富士)からは「頼むぞ」と声をかけられた。元阿武咲の打越奎也氏からも場所中に激励を受けた。

 西岩親方(元関脇若の里)は「この記録が終わるのは悲しい」と祈るように話す。若の里、高見盛らと戦った安治川親方(元関脇安美錦)は「僕の時は一人じゃなかった。途切れても今度は200年続ければいい」と、弟弟子だった錦富士を思いやった。

 再入幕は9勝が最低ラインも、番付運に左右され安心できない。錦富士は「残り全部勝てば上がる」と言い切った。

 ◇錦富士隆聖(にしきふじ・りゅうせい)本名・小笠原隆聖。1996年7月22日、青森県十和田市出身。9歳で相撲を始め、十和田中、三本木農を経て、近大を2年で中退し、伊勢ケ浜部屋に入門した。16年秋場所で初土俵、20年秋場所で新十両、22年名古屋場所で新入幕。最高位は西前頭3枚目。得意は左四つ、寄り。家族は妻と2男。184センチ、150キロ。

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