藤井菜々子 五輪&世陸通じて日本勢初の表彰台 恩師・川越氏に捧げる「次は金メダル」女子20キロ競歩
「陸上・世界選手権・女子20キロ競歩」(20日、国立競技場)
女子20キロ競歩の藤井菜々子(26)=エディオン=が自身の日本記録を15秒更新する1時間26分18秒で銅メダルを獲得した。日本女子競歩の表彰台は五輪、世界選手権を通じて初めて。岡田久美子(33)=富士通=は18位、柳井綾音(立命大)は37位。マリア・ペレス(スペイン)が1時間25分54秒で優勝し、2大会連続で35キロ競歩との2冠を達成した。
左肩の喪章に思いを込めて、僅差の戦いを勝ち切った。藤井が日本記録更新で3位となり、五輪、世界選手権を通して女子日本勢初の表彰台。日の丸を背負い銅メダルを首にかけた最高の姿を、亡き恩師に届けた。
「川越さんのこともあて、メダルを絶対取りたかった。気持ちの大きさが違った」
どうしても結果を出したかった。2021年から指導を受けていたエディオンの元監督・川越学さんが8月22日に63歳で死去。藤井は「急なことでたくさん後悔した」。父のような包容力で包んでくれた川越さんの死はつらすぎるものだった。
この日も「苦しい思いでスタートラインに立った」と悲しみは拭えなかった。しかし「元気に歩いている姿を見守ってくださる」と奮起。これまで川越さんからもらっていたレース前の声かけがないことに心細さは感じたが、「喪章を確認しながら、思いを持って歩くことができた」と、天国からのエールを力に変えた。
レースでは序盤から先頭集団で勝負。3番手で国立競技場に入り、最後は真後ろにつけていたガルシア(ペルー)と同タイムでゴールした。わずかの差で銅メダルを手にし「(猛追には)気がつかなかった。危なかった」。気持ちの強さで最後の一歩を力強く踏んだ。
川越さんとともに手にした銅メダル。「次は金メダルに向けて歩いていきたい」。新たな挑戦はもう始まっている。




