まさかの予選敗退…北口榛花、涙止まらず「悔しい結果になった」右肘負傷で復活途上での大会「精神的に苦しいところもたくさんあった」【世界陸上】
「陸上・世界選手権・女子やり投げ予選」(19日、国立競技場)
24年パリ五輪金メダリストの前回覇者で、日本記録保持者の北口榛花(27)=JAL=は60メートル38で14位に終わり、決勝進出となる上位12人に残れず、3大会ぶりの予選敗退が決まった。自国開催の大舞台で、史上初の大会2連覇はならなかった。
B組の試技が始まる前に取材に応じた北口は真っ赤になった目で「たぶん決勝には残れない。悔しい結果になった」とうつむき、その後は涙が止まらなくなった。「春先からケガが続いたり、精神的に苦しいところもたくさんあった。その度に世界陸上があるから練習に戻ろうという気持ちになれた。すごく素敵なゴールを作ってくださった皆さんに感謝したい」と覚悟したように語っていた。
右肘の保護テープを外して臨んだ予選。「1投目の60メートルはホッとしたが、全力で投げ切る練習ができていなかった。自分の中では全力でも試合からは遠い練習になっていた」と振り返り、予選を終えての感覚については「最後だと思って投げた。時間が経ってどうなるか」と語った。
他の選手の投てきを見守っている時には「これ以上(自分の記録を)超えないでほしいなって」と心境を明かした。「もっと投げたかったなって。世界大会の借りは世界大会でしか返せない。ここで決勝に残れなかったからと言って、人生終わりではない。長い休みは必要かもしれないですけど、強くなって帰ってきたい」と、自分に言い聞かせるように話していた。。
満員の国立の大声援を背に挑んだ北口だったが、1投目は60メートル31。60メートル超えに笑顔も浮かび、A組4位につけた。2投目も一発クリアラインには届かず、少し伸ばして60メートル38。3投目は58メートル80に終わり、一発で決勝進出となる62メートル50を超えることはできなかった。3投を終えると、がっくりと肩を落とし、壁にもたれかかった後、座り込んで頭を抱え、落ち込んだ様子をみせた。22年オレゴン大会、23年ブダペスト大会に続く3大会連続決勝進出の圏内で予選を終えた。
今季は右肘の炎症もあり7月の日本選手権を欠場するなど、苦しんできたが、8月に実戦復帰。8月20日のダイヤモンドリーグ第13戦は最下位に沈んだが、同28日のファイナルでは60メートル72を投げて段階的な復調を示した。「ケガをしても目標は変わらず金メダル。ディフェンディングチャンピオンで臨むことは限られた人しかできない。最高の舞台で日本の皆さんと楽しめるように」と、誓っていた。




