御嶽海 55歳で急逝の母マルガリータさんへ届け弔い初星「あと12連勝する」 土俵で全力を尽くす姿が何よりの供養に
「大相撲秋場所・3日目」(16日、両国国技館)
場所直前に母を亡くした御嶽海が、正代を寄り切って1勝2敗とした。今場所初勝利で弔い星を捧げ「ここから12連勝したい」と気丈に話した。両横綱はともに3連勝。大の里は阿炎を押し倒した。豊昇龍は伯桜鵬を上手投げで退け、昇進後初めて好スタートを切った。大関琴桜は小結安青錦に押し出され、2勝1敗になった。大関とりに挑む関脇若隆景は玉鷲に押し出され、1勝2敗と黒星が先行した。
風呂から上がり、付け人と談笑する姿は、普段以上に明るく見えた。御嶽海は「あと12連勝するつもり。初日から体は動いている。ようやく白星につながった」と、うれしそうに語った。
12日未明にフィリピン出身の母マルガリータさんが55歳で急逝。23年名古屋場所直前に、父春男さんが74歳で亡くなったのに続き、悲しみとともに迎えた本場所だったが、土俵に母への思いは持ち込まない。初日から土俵に集中するため、関係者を通じ、母に関する質問を自粛するよう報道陣に要請している。
取組前まで幕内対戦成績20勝15敗、大関同士としても戦った正代が相手。もろ差しを許しながら、即座に左を巻き替え、右を抱えて寄り切った。「学生時代からだと50戦近くやっている。お互い弱点は知っている。どっちにやる気があるか」。相手を上回る気持ちの理由は、明白だった。
2022年初場所、御嶽海は3度目の優勝と大関昇進を決めた。その千秋楽、マルガリータさんは長野から上京。取材に対し、御嶽海への思いを「生まれてきてくれて良かった。いつもありがとう」と明かしていた。
御嶽海を応援する姿が、大相撲ファンにおなじみだった母。場所後に地元でお別れの会が開かれる予定だ。土俵で全力を尽くす姿が何よりの供養になることを、御嶽海は誰よりも知っているに違いない。





