琴勝峰 一夜明けても名古屋場所Vに「まだ自分が優勝したのかな、というような感じ」
大相撲名古屋場所で幕内初優勝を果たした琴勝峰(25)=佐渡ケ嶽=が千秋楽から一夜明けた28日、名古屋市内の佐渡ケ嶽部屋宿舎で一夜明け会見を開いた。
優勝直後にも表情が大きく変わらなかったが、淡々とした表情は一夜明けたこの日も変わらなかった。「まだ自分が優勝したのかな、というような感じ。事実として分かっているんですけど、でも不思議な感じです」と初の賜杯にも実感が沸いていない様子だった。
今場所の快進撃を振り返り、大躍進は4日目、5日目の連敗が転機だったと語る。「連敗してから肩の力を抜いていこうと思って。その意識がつながったのかな」と自然体で力を発揮し、6日目から千秋楽まで怒濤(どとう)の10連勝。13日目には横綱・大の里にも負けない立ち合いで、自身初の金星も獲得した。
終盤は190センチの恵まれた体を生かした圧力のある立ち合いにも手応えをつかみ、「(今までは)相手の強みを考えてしまって、逆に立ち合いで当たりきれなかったり、こうなったら嫌だという気持ちが出てしまった部分があった。そうじゃなくて、やっぱり自分の強いところを出していった方がいい」と振り返った。
勝っても負けても、優勝しても白い歯を見せることはなかった。常に淡々とした表情の裏には、少なからず重圧もあったという。大の里戦前日には眠れず、音楽を聞いて気持ちを落ち着けることも。ただ、土俵に立てば立ち合い集中できていた。「(重圧や緊張感に)無理に抗おうとせず、緊張するのはしょうがないんで。緊張するなら緊張するでいいやぐらい」と自然体だった。
同期の横綱・豊昇龍より1場所早い20年名古屋場所に新入幕を果たすなど、出世はとんとん拍子だったが、その後はケガや不調に苦しむこともあった。ついに花開いた大器は「浮かれずに。しっかりまだまだ次の場所もあるんで、自分のやるべきことをやっていきたい。立ち合いはもっと鋭く当たれるようになりたいし、雑な部分があったり隙がまだまだあると思う。もっと地力をつけて、厳しい相撲が取れるようになりたい」とさらなる向上心をのぞかせた。





