「水泳・世界選手権」（１９日、シンガポール）

　海や湖などで競うオープンウオーター（ＯＷＳ）の新種目、女子３キロノックアウトスプリントで梶本一花（２１）＝枚方ＳＳ＝が優勝し、ＯＷＳの日本選手として初めて世界一に輝いた。今大会の日本勢で金メダル第１号。競泳とＯＷＳを掛け持ちする梶本は１８日の５キロは銅メダルで、日本選手としてＯＷＳで初めて表彰台に立っていた。２７日からの競泳は４００、８００、１５００メートル自由形の３種目に出場する。

　目を見張るような追い上げだった。女子３キロノックアウトスプリントの決勝（５００メートル）で、梶本は残り２００メートルを切ってから先頭にじわじわ迫った。終盤、強烈なキックを使って４人を一気に抜き去り、世界一に。「最後まで順位のことは考えず、とにかく力を出した」と満面の笑みを浮かべた。

　予選を組２位、準決勝も２位で悠々と勝ち上がったが、決勝はスタートで海外選手の勢いに負け、前に出られなかった。途中で帽子が脱げるハプニングも。それでも「落ち着いていた」という。

　波に負けないように腕をかき、混戦を避けて集団を後ろではなく横にそれた位置から追った。太田伸コーチは「脚を温存させていた」。作戦通り、最後は蹴りを存分に打って鮮やかに逆転した。

　直前にスペインへ赴き標高約２３００メートルの高地で合宿。心肺機能と腕で水をかく動作を鍛えた。普段から短い休憩を挟んでどんどん泳ぎこむ練習をしてきたことも、短時間で３レースをこなす新種目にはまった。比較的歴史が浅いＯＷＳはまだ日本で知名度が低い。梶本は「ＯＷＳも面白いと思ってもらえるきっかけになれば」と願った。

　◇梶本一花（かじもと・いちか）２００４年３月７日生まれ。大阪府出身。四條畷学園高を経て現在は同大４年。世界選手権はＯＷＳで２３、２４年に出場。２４年は競泳にも出て女子８００メートル自由形６位、４００メートル個人メドレー８位。枚方ＳＳ所属。１６５センチ、５７キロ。