新型コロナで引退、元力士の請求いずれも棄却 八角理事長「原告の不当な請求をすべて退けた、裁判所の賢明な判断に敬意」

 新型コロナウイルス感染を懸念して2021年大相撲初場所の休場を申し出たが認められず、現役引退に追い込まれたと主張する元三段目力士、琴貫鉄の柳原大将さん(27)が日本相撲協会と師匠だった佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)に損害賠償を求めた訴訟について27日、千葉地裁松戸支部が、元力士の請求をいずれも棄却する判決を言い渡した。

 同日に日本相撲協会が「元力士による損害賠償等請求訴訟の判決について」としたリリースを、各報道機関に送付。八角理事長(元横綱北勝海)の談話を「原告の不当な請求をすべて退けた、裁判所の賢明な判断に敬意を表します。今後も力士の育成、大相撲の伝統文化の継承に尽力いたします」と発表した。

 「協会と佐渡ケ嶽親方が新型コロナウイルス感染への不安を理由とした休場を認めず、引退を選択せざるを得なかったことへの慰謝料」

 「変色し、異臭もする肉を食べることを強要されたことや部屋の力士の汗拭きタオルの乾燥費用を負担させられたことに対する損害賠償」

 「部屋の積立金・旅行積立金の返還」

 「稽古が私刑として行われていたこと」

 「怪我や病気を理由に稽古を休むことが許されなかったこと」

 これらの点で計508万4000円の請求額で争われたが、証拠がないことなどを理由に、原告の請求はいずれも棄却された。

 協会幹部によると、佐渡ケ嶽親方は「事実が事実と認められてほっとしている」と話していたという。

 原告側が控訴をしなければ結審となる。

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