引退会見のウルフ・アロン「悔い全くない」今後の進路は明言せず、今月中に改めて報告へ「人に見られることも選択肢」指導者の道は否定

 柔道男子100キロ級で東京五輪金メダリストのウルフ・アロン(29)=パーク24=が10日、都内で引退会見を行った。今月8日の全日本実業団体対抗大会が最後の試合出場となり、「現役生活に終止符を打ち、引退することを報告させていただきます。僕自身の柔道人生は全うされた」と報告。「悔いは全くない。去年の五輪が終わった段階でほとんど燃え尽きた。やり切った状態。(先日の)実業団体の決勝で負けたのは悔しいが、悔いはない」と語った。

 小学1年から東京・講道館の春日クラブで柔道を始めたウルフは、世界選手権、全日本選手権、五輪を制し、史上8人目となる「柔道3冠」を達成。また、親しみやすいキャラクターで多数のメディアにも出演するなど人気者となり、YouTubeのチャンネルでは現役アスリートながら約12万人の登録者を誇る。男子100キロ級で2000年シドニー五輪の井上康生以来、21年ぶりの金メダルに輝いた東京五輪以降は結果を出せない時期も長かったが、昨夏のパリ五輪に出場。「走り切ったなと、完走したという気持ちが強い。やり切った感情が強い」と完全燃焼を明かした。

 23年4月から所属していたパーク24はこの日で退社となる。今後の活動については「人に対して自分を見せること、(人に)見られることが好きなので、そういうことも(進路の)選択肢になる」と言及しつつも、明言は避けた。「またちょっとそういった話をする機会は、世界選手権(13~20日、ブダペスト)が終わった後に設けられれば」と、今月中にも改めて進路発表の会見を開く意向を明かした。

 また、指導者の道については「今のところ指導者になるつもりはない。誰かに勝ってほしい気持ちがないと指導者になるべきではない。今までの(指導してくれた)先生たちは誰かのために熱くなれる人たちだったが、僕はまだ指導者になれない。誰かに勝ってほしいという感情が出たら、また考える」と、現段階では消極姿勢を示した。

 ◆ウルフ・アロン 1996年2月25日、東京都葛飾区出身。米国人の父と日本人の母を持ち、6歳の時に東京・講道館の春日柔道クラブで柔道を始めた。東海大浦安高時代は2年時に団体で高校3冠を達成し、3年時は個人でインターハイ優勝。東海大4年時の2017年世界選手権で優勝し、18年体重無差別で争う全日本選手権を初制覇、21年夏の東京五輪で金メダルを獲得したことで、史上8人目となる「柔道3冠」を達成した。左組み手で、得意技は大内刈り、内股。181センチ。

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