右手骨折も13得点MVP BL東京“鉄人”モウンガがリーグワン初のV2主導 リーチ主将も驚嘆「レントゲン見て正直無理だと」
「ラグビー・リーグワン・プレーオフ決勝、BL東京18-13東京ベイ」(1日、国立競技場)
レギュラーシーズン1位のBL東京が、同3位の東京ベイを18-13で破り、2季連続2度目の優勝を果たした。元ニュージーランド代表SOリッチー・モウンガ(31)のトライで先制するなど前半を8-6で折り返し、後半は相手の猛攻をしのぎ切って、リーグワン創設4シーズン目で史上初の2連覇を達成。モウンガは1トライ1ゴール2PGで計13得点を挙げる大活躍でこの試合のMVPにあたるプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれたが、試合前に右手を骨折して強行出場していたことが明らかになった。
前半8分、司令塔のモウンガのトライで先制。前半をロースコアの2点リードで折り返すと、後半7分にまたもモウンガが40メートルのアタックからWTB森勇登(26)のトライをアシスト。さらにゴール、PGと立て続けに決めて、相手に主導権を渡さなかった。
ただ、チームを頂点に導いたその右手の骨は折れていた。決勝までの1週間は全く練習ができず、ようやくボールを触ったのは試合前日だったという。主将のリーチ・マイケル(36)はモウンガを誘って酸素カプセルに入り回復に努めたというが、「(患部の)レントゲンを見たとき正直(出場は)無理だと思った。彼は本当に改めてすごい選手」と驚嘆しながら最敬礼。トッド・ブラックアダー・ヘッドコーチ(HC)も「決勝は7:3で3割は出られないだろうと思っていた」と明かし、「彼がどれだけタフな人間か分かったと思う。手が折れているなんて感じさせないプレーをしてくれた」と脱帽した。
不屈の“鉄人”は「少し痛いくらいで、全体的なプレーには影響はなかった」と涼しい顔。これまでのキャリアでも右手は3回、左手は1回、骨折しながらプレーした経験があると明かし、「特に1回目は試合序盤で骨折したが、その後もフルで出ることができた。今回は決勝という特別な舞台だったので出ることは不可能じゃないと、(この1週間は)常にプレーするつもりでやっていた」と事もなげに語った。
23年W杯でニュージーランドを準優勝に導いた世界的司令塔は、昨季BL東京に加入。昨季はチームを前身のトップリーグを含めて14季ぶりの頂点に導き、選手間投票による「プレーヤー・オブ・ザ・シーズン」にも選ばれた。優勝請負人はリーグワン初の2連覇という歴史をつくったが、痛みを押して優勝が決まった瞬間は兄のように慕うリーチの顔を見たという。「東芝の外国人全員の面倒を見てくれて、日本での生活をすごくやりやすくしてくれる。彼が喜んでいる姿が一番うれしくて、誇らしい」と胸を張った。




