大の里 史上初!綱とり場所13日目Vで最速横綱へ 直近7場所で4度目、2場所連続優勝 稀勢の里以来の和製横綱
「大相撲夏場所・13日目」(23日、両国国技館)
大の里が琴桜との大関対決を寄り切りで制し、自身初となる初日からの13連勝で2場所連続4度目の優勝を決め、場所後の横綱昇進を確実にした。13日目の優勝決定は2015年初場所の白鵬以来。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の引退から約6年、不在だった和製横綱誕生となる。記録を作り続けてきた怪物が、初土俵から所要13場所での最速昇進など、新たな金字塔とともに最高位に上り詰める。
力強くうなずいた。大の里はドヤ顔で、自身の青い応援タオルが占める観客席を見つめた。「率直にうれしいです。一日一番集中することだけを考えていた。特別なことは考えずいつも通り」。自身初の初日からの13連勝で綱とりを確実にした。
琴桜を圧倒した。立ち合いで得意の右を差し、そのまま前進。最後は腰を落とし、寄り切った。13日目での優勝は白鵬(現宮城野親方)以来10年ぶり、綱とりがかかる場所では史上初となる。NHKのインタビューを終え、支度部屋に戻る際には宮城野親方から「おめでとう」と手を差し出され、両手で握手した。
父の知幸さんが「ずっと勝っていたわけではない」と話すように、小学校では石川県内で際立った存在ではなかった。小学6年で新潟・能生中への相撲留学を決断。中学2年まで主力ではなかったが、中学3年の白鵬杯に優勝し、自信をつけた。その契機となった大会を現役横綱として創設した親方との握手だった。
場所前は体調不良で稽古を休み、2日の稽古総見は不調で自ら「上半身と下半身がバラバラ」と自己評価。その後、5日間の稽古で巻き返した。二所ノ関親方は「いろんな調整の仕方がある。結果が良ければ全部が肯定されるから。それが勝負の世界」と話していた。
所要13場所で横綱昇進となれば、昭和以降では羽黒山、照国の16場所を抜く。年6場所制となった1958年以降では輪島の21場所を更新。新入幕から所要9場所は大鵬の11場所を塗り替える。
高校時代は1年で総体個人2位に入るも2年で失速し、3年で巻き返した。日体大では1年で学生横綱も、2年で低迷し、3、4年で当時25年ぶりとなる2年連続のアマ横綱に輝いた。大相撲では昨年夏場所で初優勝も翌場所9勝、同秋場所で優勝し、最速大関に昇進も翌場所は9勝だった。連覇は21年九州場所の照ノ富士以来、大関としては12年秋場所の日馬富士以来。ムラの大きい課題を克服し、大の里時代を築くスケールを誇示した。
地震、豪雨災害で傷つき、常に気にかける故郷石川からは第6代阿武松、第54代輪島以来の横綱。学生出身では輪島以来2人目だ。「残り2日間大事にして星を伸ばして頑張ります。全勝?やってみたい気持ちはある」とキッパリ。大関昇進時の口上『唯一無二』を体現した。
◆大の里昇進アラカルト
▽スピード昇進 初土俵から13場所は輪島の21場所を抜いて、年6場所制となった1958年以降初土俵で最速。新入幕から9場所も大鵬の11場所を上回り、58年以降新入幕でトップの速さ。
▽学生出身 日大出の輪島に次いで2人目。
▽石川県出身 江戸時代後期の阿武松、73年夏場所後の輪島に次いで3人目。最多は北海道の8人。
▽二所ノ関部屋 元横綱稀勢の里が師匠となってからは初めて。二所ノ関部屋の横綱は玉錦、大鵬に次いで3人目。二所ノ関一門からは17年初場所後の稀勢の里以来。
▽20代前半 20代前半の日本出身横綱は22歳で昇進した94年九州場所後の貴乃花以来。
▽平成生まれ 照ノ富士、豊昇龍に次いで3人目。2000年代生まれは初めて。
▽同一年に複数の新横綱 87年の北勝海、大乃国以来、昭和以降7例目。





