岸里奈 決めた初優勝「やっとつかめた」と涙 「自信になった。でもまだミスがある。もっと上に行ける」

 「体操・全日本選手権」(19日、高崎アリーナ)

 体操の世界選手権(10月・ジャカルタ)代表2次選考会を兼ねて行われ、個人総合で争う女子決勝で岸里奈(17)=戸田市SC=が合計108・431点で初優勝した。パリ五輪代表の岸は4種目合計54・165点で、17日の予選に続きトップだった。杉原愛子(25)=TRyAS=が2位で、大阪・相愛中2年の13歳、南埜佑芽(なんばク)が初表彰台の3位に入った。女子の代表は4枠で、今大会の上位24人が最終選考会を兼ねる5月のNHK杯に出場する。

 世界を意識する岸が、成長を証明した。会場中の視線を集めた最後の床運動。冒頭で成功させた大技、H難度の「シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」は、パリ五輪を経験した昨季よりも迫力を増していた。最後の着地が乱れて「格好悪い終わり方」と苦笑しつつ「やっとつかめた優勝」と有言実行の初制覇に涙があふれた。

 パリでの経験が岸を変えた。海外選手の力強い演技に触発され、動画を参考に技のダイナミックさを追求。表現力やリズム感を磨くためダンスにも挑戦したが、一方で五輪後は不調が続き、心身で“燃え尽き”のような症状に悩まされた。

 だから、開幕前日の記者会見で優勝を目指すと宣言したことに周囲は驚いた。全日本を5度制した豊島(旧姓菅原)リサ・コーチは「狙って取るのは難しい」とみていたが、試合に入ると集中力はさえた。段違い平行棒や跳馬は1位。盤石の強さだった。「トップを取れて自信になった。でもまだミスがある。もっと上に行ける」と岸。満足しない姿に、新エースの自覚がにじんだ。

 ◆岸里奈(きし・りな)2007年9月23日生まれ。埼玉県出身。昨年は全日本選手権とNHK杯でともに2位。初出場だったパリ五輪は種目別床運動7位、個人総合11位で団体総合は8位だった。通信制のクラーク高3年、戸田市SC。149センチ。

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