豊昇龍 千秋楽圧巻3連勝!逆転Vで決めた横綱昇進 先場所の雪辱果たし歓喜の涙 “日本の母”との約束

 「大相撲初場所・千秋楽」(26日、両国国技館)

 綱とりの大関豊昇龍(25)=立浪=がともえ戦による優勝決定戦を制し、2023年名古屋場所以来となる2度目の優勝を果たすとともに、来場所の横綱昇進を確実にした。結びの一番で大関琴桜を退け、12勝3敗で並んだ王鵬、金峰山と優勝決定戦でも両者に連勝。日本相撲協会で番付編成を担う審判部が横綱昇進を諮る臨時理事会の開催を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、了承された。理事長は横綱審議委員会(横審)に昇進を諮問することも明言。臨時理事会と横審は、ともに27日に開かれる。

 豊昇龍の険しい顔が泣き顔になった。千秋楽の“3連勝”。歓喜の涙は横綱昇進につながった。優勝インタビューでは「しっかり一から頑張ります」と宣言。泣き顔は笑顔に変わっていた。

 本割で琴桜を破り、ともえ戦に持ち込んだ。金峰山を寄り切り、王鵬との大一番。突きをしのいで右四つになり、落ち着いて寄り進んだ。粘る相手を力強く寄り倒した。

 「チャンスを逃したくなかった。何も考えず、自分の相撲を取りたいと考えた」。先場所は千秋楽で琴桜に敗れ、13勝で優勝次点。悔しさをバネに大関初優勝だ。

 23年名古屋場所で初優勝し大関昇進。以降は精彩を欠き、ケガにも苦しんだ。復活の契機は8勝に終わった昨年の秋場所。しこ、てっぽうを増やし、突き押しを磨き、相撲の幅が広がった。

 今場所は9日目までに平幕相手に3敗。師匠の立浪親方(元小結旭豊)の「楽しくやれ」という言葉に「考え過ぎてました」と切り替え、大逆転の綱とり成就だ。

 叔父で25回の優勝を誇る元横綱朝青龍とは、1年ほど連絡を取っていない。親族間の不和が原因というが、結果的に“脱朝青龍”の道を進んだ。

 酒を控えるようになり、支援者との会食ではノンアルコール飲料。早めに帰り、稽古に備える。立浪親方は「飲めますよ。ただ、筋肉に悪いことは分かっている」と心構えを評価する。

 「先場所千秋楽で悔しい思いをして“ある方”に約束した。この気持ちでぶつかりますと言って、1月場所を迎えました」と話した豊昇龍。

 “ある方”とは久保田るりさん(56)=千葉県柏市在住=で、豊昇龍は“日本の母”と慕う。ダウン症の息子の輝哉(てるちか)さん(17)を“日本の弟”と親しく接し、この日の優勝オープンカーでは同乗させ、喜びを分かち合った。

 生活態度、支援者との接し方を見て「てんぐになっている」と豊昇龍を叱ったこともある久保田さんだが「最近は成長して大人になった」と話す。初優勝時は同乗させることができなかった、輝哉さんとの優勝パレードを、感慨深げに「うれしかった」と語った。

 顔は似ていても朝青龍とは異なる横綱へ。険しくも誇り高き道のりが待っている。

 ◆豊昇龍智勝アラカルト

本名 スガラグチャー・ビャンバスレン

生年月日 1999年5月22日

出身地 モンゴル・ウランバートル

相撲歴 幼少期から柔道、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどさまざまなスポーツをやっていた。レスリングで日体大柏高に留学したが、1年途中から相撲を始め、3年時に関東大会優勝、全国高校総体個人準優勝。

初土俵 2018年1月

しこ名の由来 師匠の旭豊から「豊」を、叔父の朝青龍から「しょうりゅう」をもらい、上昇の意味を込めて「昇」とした。

得意 右四つ、寄り、投げ

好きな食べ物 肉

嫌いな食べ物 トマト

好きな漫画 「火ノ丸相撲」

ニックネーム ビャンバ

サイズ 身長188センチ、体重148キロ

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