バレー男子日本 パリ五輪切符 3月死去の藤井さんに届けた吉報 「背番号3」とともに歓喜の輪

 パリ五輪出場を決め喜ぶ選手ら(撮影・佐々木彰尚)
 パリ五輪出場を決めて叫ぶ石川
 東京五輪代表セッターの藤井直伸さん
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 「バレーボール男子・W杯、日本代表3-0スロベニア代表」(7日、代々木第一体育館)

 龍神ニッポンがパリへの切符をつかんだ。日本はスロベニアに3-0で勝って五輪出場権を獲得。4試合連続ストレート勝ちの4連勝で5勝1敗とし、最終戦で敗れても3位スロベニアをセット率で上回るため出場圏内の2位以内が決まった。2021年の東京大会は開催国として出場しており、自力で予選を突破したのは08年の北京大会以来、4大会ぶりとなる。米国はセルビアに快勝して6連勝とし、五輪切符を得た。

 歓喜の輪が広がり、1万人を超える大歓声が龍神ニッポンを包み込んだ。スロベニアをストレート勝ちで下し、パリ五輪出場権を獲得。コートの中央では、胃がんにより3月に31歳で亡くなった元日本代表の藤井直伸さんの背番号「3」のユニホームが掲げられた。石川は「最後まで自分たちを信じた結果。目標を達成してすごくうれしい。最高のメンバー。自分たちの強さを証明できた」。普段はクールなエースの震える声が、激闘を物語っていた。

 世界選手権4強のスロベニアに序盤こそリードを許したが、そこから猛反撃。石川の強烈なサーブで相手を崩し、バックアタックで得点を重ねた。高橋藍、西田らも活躍し“三枚看板”が躍動した。第3セットは全選手が懸命にボールをつなぎ、石川に託した。高く跳び上がり、ライトから対角線にボールを打ち抜く。24点目のセットポイント。最後は相手のサーブがコート外に落ちて決着した。

 今大会は大苦戦で幕を開けた。第1戦は出場国で世界ランクが一番低いフィンランドにフルセットまで競られ、続く格下のエジプトには逆転負けを喫した。ネーションズリーグ46年ぶり銅メダル、アジア選手権Vの成績で臨んだ舞台だっただけに、選手全員の表情が凍りついた。意気消沈で宿舎に戻る中、支えてくれたのが藤井さんだった。

 黒星の日に藤井さんの特集がテレビで放送された。目に映ったのは、ともに日の丸を背負い、最後まで懸命に戦い抜いた盟友の姿。「まだ終わっていない」。言葉は交わさなくても全員が、その意識を共有した。「このタイミングでの放送は藤井さんさすがだなって」と高橋健。本来の動きを取り戻し、スロベニア戦まで4戦全てストレート勝ち。夢舞台の切符をつかんだ。

 「パリでメダルを狙えるチームになった。また一つステージが上がった。パリではメダルを狙う」と石川。8日の世界ランク2位の米国戦は、その前哨戦となる。東京五輪は8強。1972年ミュンヘン五輪の金メダル以来となるメダル獲得へ、龍神の目には表彰台しか映っていない。

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