伊藤美誠 五輪女王に完敗で“打倒中国”に原点回帰「目標高くしないと」早田ひな快進撃にも刺激 五輪代表争い反撃へ
卓球女子で東京五輪代表の伊藤美誠(22)=スターツ=が31日、都内で取材に応じた。28日まで行われた世界選手権(南アフリカ・ダーバン)では、シングルス、女子ダブルスともに中国勢に敗れ8強。メダルには届かなかったが、「最後の最後までケガなくできて、最低限の目標は達成できた。まずはベスト8までいけてよかった」と前向きに振り返った。
久々に伊藤のコメントに強気が戻ってきた。大会前から腰と左臀部(でんぶ)の故障に苦しんでいたが、懸命の治療で回復し、シングルスでは中国勢以外には圧勝して8強入り。準々決勝は東京五輪金メダルの陳夢(中国)に0-4と完敗したものの、「中国選手のボールを受けられたのは大きなポイント。中国選手に勝つには練習からそういう(高い)質のボールを受けるとか、もっともっとやっていかないといけない」と闘志をみなぎらせた。
五輪代表選考が国内選考会中心に変わり、日本選手との戦いが主軸となって勝ち切れない大会が続いている中、「国内選考会が多くてどうしても日本選手(対策)を目標にしていたが、中国選手に勝つ、倒すというのを1番の目標にして自分のレベルを上げていかないと。目標を高くすることがすごく大事なこと」と再確認した様子。「東京五輪まではそういう位置づけで中国選手に勝つことを1番の目標にして、(レベル全体を上げて)どの海外選手にも勝てるようにやってきたが、世界選手権でそれをまた気づかされた。それが一番自分に合っている」と“打倒中国”という自分の原点に立ち戻った。
盟友の早田ひな(日本生命)が、世界ランク3位の王芸迪(中国)を撃破して銅メダルを獲得した快進撃からも刺激を受けた。「早田選手だからうれしい気持ちと、逆に早田選手だから悔しいという気持ちもある。早田選手が頑張ってる姿を見て、自分も中国選手とここまでやりたいと思った。この気持ちに負けじと乗っていけたらいい」
今大会の結果で、パリ五輪代表選考ポイントでは7位から3位まで浮上。早田が首位を独走しているが、五輪切符圏内の2番手争いは混線となっており「やっと(上位の)みんなの接戦に乗れた」とうなずきつつ、「一番大事なのはパリに出ることではなく、優勝することが目標なので。(五輪に)出たらメダルを取れる(日本)選手が多いと思うが、出るだけ(が目標)だったら出られない。金メダルを取るという思いでやっていたら、自然と出場がついてくると思う」と言い聞かせた。
次戦のTリーグ個人戦ノジマカップ(6月17~18日、東京都北区)から来年1月の全日本選手権まで選考対象大会が続く。「あとはどんどん上を見据えて、どうやったら(2位の)平野選手、(1位の)早田選手を超せるかという勢いでやっていきたい」と決意を込めた。





