朝乃山の本名「広暉」に込めた父・靖さんの思い 「あの字を見ないと思ったらいた。菅田将暉さん(笑)」

 「大相撲名古屋場所・2日目」(11日、ドルフィンズアリーナ)

 新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所出場停止処分が解けた元大関で西三段目22枚目の朝乃山(28)=高砂=が、剛士丸(武蔵川)を寄り切り、復帰戦を白星で飾った。しこ名を本名の「広暉」に戻しての復帰となった朝乃山。昨年8月に亡くなった父・石橋靖さんがその名前に込めた願いをデイリースポーツの大相撲デスクが明かす。

  ◇  ◇

 本名の「広暉」に戻し再起した朝乃山。昨年8月に亡くなった父・石橋靖さんが「広は心の広いおおらかな子供に育ってほしい」との願いで命名した。暉は輝くの意味。そして「あの字はいない」と、特別な存在になってほしい思いも込めた。

 「あの字を見ないと思ったらいた。(俳優の)菅田将暉さん」。そう言って生前の靖さんは笑っていた。

 靖さんは朝乃山が中学生時から、試合は全国どこでも車で駆け付け映像に収めた。「DVDだけで70枚」と言うほど。相撲の経験はないものの、父・靖さんは誰より身近で、一番多く、朝乃山の取組を見続けたファンだった。

 記者はよく本場所中、電話をさせてもらった。「今場所の広暉は立ち合いの踏み込みが強い」。取組の話になると止まらなかった。

 不祥事の後も話を聞いた。息子に怒り、悲しみを口にしながら「ごめんなさいね、こんな話で。広暉のいい話をしたかったですよ」と、つらい状況でも相手を気遣う人柄だった。「いい話」は必ずできると思ったが、かなわぬ約束になった。

 優しくて、息子をどこまでも愛した靖さん。1998日ぶり「広暉」での勝ち名乗りを天国でかみしめているだろう。(デイリースポーツ・荒木 司)

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