競泳金メダリスト・萩野公介氏「死」を考えた過去告白

 リオデジャネイロ五輪の競泳男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得し、東京五輪出場後に引退した萩野公介氏(27)が2日、NHK総合「クローズアップ現代」に出演し、現役時代から抱える心の闇を明かした。

 番組はアスリートのメンタルヘルスについて特集。心の不調をうったえるアスリートが増え、海外の研究ではトップアスリートの34%近くが不安や抑うつ症状を抱えていることなどを伝えた。

 萩野氏もインタビューに応じ、練習場に行こうとしても足が動かず「ご飯が食べられなくなったり、部屋から出られなくなったりとかもしょっちゅうでした」と明かした。「病院に通いながら今も治療を続けている段階」とし「現役のころもそうですし、現役を引退してからも、どうしても、自分で自分のことを好きになってあげられなかった」と説明。「自分で『死んでしまったらいいのにな』みたいなことを思うこともすごく強くありました」と栄光とはかけ離れた心境だったことを伝えた。

 心の不調が出始めたのは連覇の期待がかかる東京五輪を目指していたころ。右肘の手術などで思うような結果が出せなくなったこともあり、無期限の休養を取った。

 自身の心の不調について、自問自答した結果、行き着いた答えは、自身は「あまり争いごとを好まないような性格」だということだった。他の選手を蹴落としてでも1位を取ろうとするほどの闘争心はあまりなく「スポーツから求められる方向性というものの不一致」に苦しさを感じていたという。

 また、世間のイメージが本来の自分と大きく違っていることにも苦しんだ。「天才・萩野公介」と称されることもあったが、その姿は、萩野氏自身も「そうなれたらいいな」と思う姿だった。「本当の自分じゃない自分にはなれないんですよ」と心の中では大きなギャップがあったと説明した。

 「壁は自分の力で乗り越えなければ」と思い込んでいたこともあり、当初は心の闇を周囲に話せずにいたという。「そういったものをまず認めるということもすごく時間がかかったんですよね。『そんな風に思っている自分なんているはずがないよ』っていう風に、やっぱり最初は思ってて」と弱さを認めることにすら時間が必要だったと明かした。ようやくカメラの前で語ることができるようになり、最後はアスリートへ「自分の強さも弱さも認めてあげてほしい」とメッセージを送った。

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