鈴木、日本歴代2位でMGC獲得 世界選手権出場も確実「少しずつ距離縮めたい」

 「東京マラソン2021」(6日、東京都庁~東京駅前)

 新型コロナ禍の影響で2年ぶりに開催され、男子は日本記録保持者の鈴木健吾(26)=富士通=が日本歴代2位の2時間5分28秒で日本人最高の4位となり、7月の世界選手権出場を確実にした。女子は、鈴木の妻の一山麻緒(24)=ワコール=は2時間21分02秒で日本人最高の6位。夫婦で23年秋に行われるパリ五輪選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を獲得した。優勝は、男子が世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)、女子が世界記録を持つブリジット・コスゲイ(ケニア)。

 両手を広げてゴールテープを切ると、重圧から解き放たれたかのように涙があふれた。鈴木は序盤から日本記録を狙えるハイペースで走ると、30キロ手前で日本人の単独首位に立った。ラストスパートはかけきれなかったが、日本歴代2位の好記録でフィニッシュ。「日本記録を出してから1年間とても苦しかった。それを今日乗り越えられた」と、泣きながら喜んだ。

 殻を破るレースだった。21年2月にびわ湖毎日マラソンで日本記録を樹立。急激に注目を浴びたことで「そういうのがちょっと精神的にきつかった。かなり削られた」と大きく戸惑うこともあったが、苦しい状況を支えてくれたのは昨年12月に結婚を発表した一山だ。互いのことを多くは語らないが、同じトップアスリートとして高め合い、理解し合っている間柄。そんな妻を、先にゴールした鈴木はフィニッシュ地点で優しい笑みを浮かべて出迎えた。

 また、五輪王者のキプチョゲと一緒に走ったことも力になった。富士通の福嶋正監督は「世界のトップと走れたのはすごく刺激になったんじゃないか」という。世界トップとの競走が記録への後押しとなった。

 大会1カ月前に左膝の裏を負傷し万全ではなかった鈴木だが、その中でも日本歴代2位をマーク。「日本人1位で目標としていた世界選手権に近づいた。そういう部分で乗り越えられた」と成長を痛感しての涙だった。

 7月の世界選手権の代表入りも確実となった。「自己ベストでも世界のトップから3分以上差がある。少しずつ距離を縮めていきたい」。さらなる高みへ、一皮むけた“最強の夫”が走り続ける。

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