白鵬の“全勝優勝後”に引退 近いケースは01年引退の曙 故障と向き合った横綱たち
横綱白鵬(宮城野)が現役引退の意向を固め、27日には八角理事長(元横綱北勝海)を通じ、横綱審議委員会にも伝えられた。横綱は番付降下がないため、務めを果たせない場合は自ら進退を決断しなければならない。不祥事による引退を除けば、直前の成績は非常に厳しいものになっているのが一般的だが、白鵬は今年の名古屋場所で全勝優勝している。
近年の例を見ると、鶴竜の場合は、腰をはじめとするけがで休場が重なった。休場していた今年の春場所中に引退を決断したが、この時点で休場は5場所連続となっていた。稀勢の里は引退した19年初場所で3連敗した時点で決断したが、直近の2場所から通算して、不戦敗を除き8連敗していた。
貴乃花は当時の小泉首相が「感動した」と絶叫した01年夏場所の優勝後、7場所連続全休。進退が取りざたされる中で出場した02年秋場所で12勝したが、続く九州場所は全休。03年初場所は雅山戦で肩を痛めて途中休場した後に再出場。出島、安美錦に敗れ引退した。
武蔵丸は6場所連続休場の後、03年九州場所7日目、土佐ノ海に4敗目を喫した際に、天を仰ぐように視線を上にやり、その後、引退を発表した。3代目若乃花は99年秋場所で7勝8敗と負け越し、再起をかけて2場所全休した後に2000年春場所で栃東に敗れた相撲が最後になった。
一方で白鵬に近い状況だったのは曙だ。休場が続いた99年から一転して、2000年は2度の優勝。それ以外の場所も好成績だった。だが、01年初場所は両膝の故障で全休。その場所後に引退を発表した。直近の00年九州場所では11度目の優勝を14勝1敗の好成績で果たしていた。慰留する師匠の東関親方(元高見山)に懇願し、土俵人生の幕を引いた。
今回挙げた例だけでも、全員が古傷も含め、痛めた体で土俵を務めていた。引退直前に好成績を挙げた白鵬や曙も、それは変わらない。



