宇良 東京五輪で400リレーから学ぶ「素人には分からない難しさがあるんだなと」
「大相撲秋場所」(12日初日、両国国技館)
先場所10勝を挙げ、東前頭6枚目に番付を上げた人気業師の宇良(29)=木瀬=が2日、都内の部屋で稽古後、電話取材に応じた。部屋の関取衆との申し合い稽古も再開しており、「いつも通り。(治療もトレーニングも)バランスよく」と、順調な口ぶりだった。
宇良は2度の右膝手術で一時は序二段まで降下。長いリハビリを乗り越え、昨年11月場所で十両に復帰。先場所、21場所ぶり幕内に返り咲いた。
2桁星に関し「実力以上の結果を出せた。運ですね。運が良かっただけ」と謙虚。幕内復帰2場所目に向け「自分の今出せる、良好な状態をつくって挑みたい」と意気込んだ。
約4年前、前回幕内時の自己最高位が東前頭4枚目で最高位に迫る6枚目。「別に、過去の自分に追い付いたという点では、僕は追い付いたと言っていいと思うんで。これが4枚目だろうが6枚目だろうが、そこはただただそういう数字になっただけで。そこはもう、自信を持って、前のところに戻ってきたと言っていいと、僕は思っている。4枚目を越えてないから、自分を超えられていないとか、そういう話ではなくて。そこは戻ったと、僕ははっきり言いたいですね。あと2枚届いていないから、追い付いていないとは思わないです」と、歩んできた復活ロードに自負をみなぎらせた。
勝ち星を重ねれば上位戦が組まれる可能性もある。先場所も14日目、突然、小結明生(立浪)戦が組まれた。しっかり四つに組んで寄り切り、以前とは違うスタイルも見せた。
「元から持っていた技ですね。あの時まで隠していただけです。ふふふ。隠していただけです」と、不敵に笑った。
体重は春場所前から4キロ増えて147キロ。順調に肉体強化に成功しているが、まだまだ上を見る。「ベストはまだたたき出せてないですね。体重もあれですけど、中身も大事なので。そういう点ではもうちょっとベストがあるんじゃないかなと思います」と話した。
176センチの身長では体重155キロが最大値と考えている。「自分の身長的に155が限界かなと思う。その中でいかにクオリティーの高い150台にもっていくかが大事」と力を込めた。
東京五輪で心に残ったシーンがあった。関学大の後輩、多田修平が出場した陸上男子400メートルリレー。決勝でバトンミスがあり、まさかの途中棄権となった。
「多田くんが第一走者でバトンがつながらなかった。惜しいですね。やっぱり、素人には分からない難しさがあるんだなと、深く考えることありましたね。一番はプロが何気なくこなしている行為は結構、奥深い技術があって。当たり前のようにやってますけど当たり前じゃないんだなと。バトンがつながるのが」と同じプロとして考えることがあった。
ギリギリを攻めるという意味で相撲にも通じる。「あれを見て、相撲も一瞬の競技なので。ミスしたら、そこを突かれて一瞬で終わることもある。プレーヤーとオーディエンスのギャップというか、そういうのは生じるな、とは感じましたね。テレビとか、ネット記事でなぜそういうミスが起きたかというのを事細かに説明されている部分があったので、見ている側も難しい攻めのバトンをしていたんだなと何となく分かりますけど相撲ってそのへん、見ている側に理解を得られないようなことが、特にあるなと思って」と話した。
宇良が土俵際ではたかれて負けた時、一般ファンから「足が出ていませんでした」と言われたことがある。「もっと前ミツをつかんで相手の力を利用する出し投げを打ってください」と助言をもらったこともある。
「相撲って見た目、簡単そうに見えるので。相撲の難しさを見ている側にもっと伝わる方法がないんかなと。リレーでバトンを落としただけなんですけど、そこまで何か考えちゃいましたね。リレーでバトンを落として、みんな『攻めのバトンをしましたね』と。僕も負けた時には『攻めの相撲を取った』と言われるように」と、業師ゆえの探究心を見せ、熱く語っていた。




