桐生祥秀 右アキレス腱の痛み耐え決死の力走も5位 ショック大きく「一区切りかな」

 「陸上・日本選手権」(25日、ヤンマースタジアム長居)

 約1カ月後に迫る東京五輪の代表選考会を兼ねて行われ、桐生祥秀(25)=日本生命=は5位、前日本記録保持者サニブラウン・ハキーム(22)=タンブルウィードTC=は6位に沈み、この種目の東京五輪代表に入れなかった。多田修平(25)=住友電工=が10秒15で初優勝。9秒95の日本記録を持つ山県亮太(29)=セイコー=が3位となり、2人は五輪代表入りが決定。デーデー・ブルーノ(21)=東海大=が2位に入ったが、五輪参加標準記録(10秒05)に達していないため、現時点で出場資格はない。

 決死の走りは実らなかった。右アキレス腱(けん)痛を抱えながらの戦いだった桐生は、後半の爆発力を欠き、3位争いで競り負けて5位。わずか0秒01差で、100メートルの代表入りを逃した。

 まだリレー代表入りの可能性が残るが、「なんて言うのか…。まあ悔しいっていうのは変ですけど、こういう結果になってしまった以上はいったん一区切りかなと。今まで東京を目指してきての7、8年間。いろいろあった」と虚空を見つめた。

 勝負の五輪シーズン。ここまで歯車はまったくと言っていいほど、かみ合ってこなかった。5月に五輪会場の新国立競技場で行われたテスト大会では、予選で号砲より早く出てしまい、フライング失格。5月末には右アキレス腱を痛め、その後は十分な走り込みができなかった。

 6月上旬の布勢スプリントの決勝を欠場した後も十分に回復はせず、痛みを抱えたまま乗り込んできた今大会。テーピングにアイシング、超音波治療と懸命に治療を施しながらの戦いだったが、準決勝後には「歩くだけで痛い」と吐露していた。ただ、この日は「今、足のことを答えてしまうと、足の痛みのせいでこの順位になったと思われてしまう。今は足の状態はお答えできない」と、敗因を足のせいにはしなかった。

 大学卒業後プロとなり、2021年2月には第1子となる長男も誕生した。「結果がすべての世界。プロとしてこれ(陸上)で生活していくというけじめが出てきた。自分にどれだけの価値があるか。今はスポンサーがついてるけど、半年勝てないとつかないかもしれない」と覚悟を口にしていた25歳が、残酷な現実を突きつけられた。

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