内村の五輪切符は紙一重の差 0・001点が明暗分ける 勝敗の要素「運以外ない」

 「体操・全日本種目別選手権」(6日、高崎アリーナ)

 東京五輪の国内代表選考会がすべて終了し、個人枠1枠を巡る争いで暫定トップで迎えた内村航平(32)=ジョイカル=が個人枠の代表を決めるポイント数により、体操ニッポン史上2人目となる4大会連続五輪代表入りを果たしたが、跳馬の米倉英信(徳洲会)とは極めて僅差の争いとなった。

 「もうね、ダメです」

 代表決定後のインタビューで内村が漏らした言葉が全てを物語った。「オリンピックには行けないなと着地した時に思っていた」と振り返るほど、納得のいかない演技だった。

 今回の個人1枠は非常に複雑な方式で争われた。対象の演技は全日本選手権の予選・決勝、NHK杯、種目別の予選・決勝の5回。それぞれで、米倉なら跳馬、内村は鉄棒の暫定世界ランキングの得点と比較して、設定されたポイントが割り振られている。

 このポイント数は、前日の予選を終えた時点で内村が150ポイント、米倉が140ポイント。米倉は逆転のため、最大の40ポイントを獲得できる「暫定世界ランク1位を0・2以上上回る」得点を目指した。その得点が15・166点だった。

 1本目は見事な演技で15・400点。しかし、2本目で着地が後方に弾み14・900点。平均で15・150点で0・016点、目標に届かなかった。

 そして、内村の演技を迎える前に、一つ、不確定要素があった。日本協会暫定の世界ランキングで、団体代表入りを決めた選手の得点が反映されるため、内村がこれまで獲得したポイントが変化する可能性があった。

 内村の前に演技した橋本大輝が大技を続けて成功させ、着地を1歩大きく踏み出したものの15・133点を獲得。これが新たな暫定世界ランク1位相当の得点になった。もしも、内村に15・200点から15・333点未満の演技があれば、獲得ポイントが各10ポイント下がることになっていたが、該当する演技はなし。NHK杯の15・333点は辛くも40ポイントをキープした。

 そして、内村はこの日の演技を15・100点の2位とし、20ポイントを獲得。米倉と内村は170ポイントで並んだ。しかし、タイブレークと呼ばれる選考基準により、内村が代表切符を手にした。

 簡単に言い換えると、もしも米倉が2本平均で0・016点上積みしていたら、もしくは橋本が0・001点上積みしていたら、内村の4大会連続となる五輪はなかった。恐らく米倉の2本目か、橋本のどちらかが着地をぴったりと決めていたら結果は逆になっていただろう。

 内村は「明暗を分けたのは運以外ない。今日はかなり運が自分の味方をしてくれた。最後の最後は運が味方をしてくれた」と振り返った。

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