照ノ富士は何度も「辞めたいと…」 おかみが見た師弟愛「素晴らしい関係だった」

ツェグメド・ドルジハンド夫人(右)と記念撮影する照ノ富士(代表撮影)
大関再昇進を伝達され、鯛を持ち上げる照ノ富士(左から2人目)。左はツェグメド・ドルジハンド夫人。右2人は伊勢ケ浜親方夫妻(代表撮影)
2枚

 日本相撲協会は3月31日、臨時理事会を開き、関脇照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=の大関再昇進を決めた。同日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた伝達式後、同部屋のおかみさん、杉野森淳子夫人が間近で見てきた師弟の絆の強さを語った。

 両膝負傷、内臓疾患も重なり、2017年秋場所で大関から陥落。18年名古屋場所では十両からも落ちた。

 その頃から照ノ富士は師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)のもとを訪れていた。「たびたび大関が親方のところを訪ねてきて、『辞めたい』って。もう幕下に落ちたくらいから。そうすると私は席を外して。ソファで1時間は親方が毎回、5、6回説得していました。その姿がすごく印象的で。そうするとまたうなだれて戻っていくというのを繰り返しているのを見てきたので、本当にあの時は今があるって想像できなかったですけど。やっぱりあれがあって、今があって。思えば、2人でしゃべっていたのを見ていたので」と、当時を振り返った。

 意思の固い大関を師匠が賢明に説得。「とにかく5回か6回はあったと思いますけど。そこはすごいなと思いましたね、主人はやっぱり。説得を何回もするので、やっぱりやらなきゃいけないんだろうという気持ちを本人が持ち始めて、まず糖尿病とか他にもいろいろあったみたいなんですけど、内臓を治して。手術も、きちんとした手術を両膝ともやったので。でもなんか本人が本当に努力をしていたので、すごいと思いますね」と、照ノ富士の努力に感心した。

 昨年初場所では再十両昇進した頃からは、もう大丈夫と感じた。「ご覧になってわかると思うんですけど、すごく精悍(せいかん)な、全部、削(そ)ぎ落とされたみたいな。ブヨブヨ(した体型を)していたというか、序二段に落ちていた時は湿疹もできていましたし。そういうものを全部出したって感じで。でもやっぱり親方の説得がすごかったです。それは本当に私間近で見ていて、あきらめないという意志が通じたんじゃないですか」と親方の思いが照ノ富士にも伝わった。

 無念の思いで辞めれば、照ノ富士の将来も心配された。「多分ここで辞めたら、言い方は変ですけど、やさぐれてしまうみたいなのを。それだけが残ってしまうからって。それを食い止めたかったんじゃないですかね、まずは。やれるだけやってという軌道修正(をして)」、親方の思いを代弁した。

 元大関のプライドもある中、よく耐えた。「やっぱりプライドはあるでしょう。大関といったら付け人もたくさん付きますし、看板ですからね、協会のね。だから、まわしを持って土俵入りするとか恥ずかしかったと思いますけど、それをよく乗り越えてくれたと思います。本当に親方と大関が素晴らしい関係だったんじゃないですかね」と、師弟ともにあきらめない姿に感激していた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス