阿部詩、1年ぶり実戦Vも不完全燃焼「自分の求めるレベルにない」「相手にビビった」

 柔道女子52キロ級で東京五輪代表の阿部詩(20)=日体大=が、グランドスラム(GS)タシケント大会の優勝から一夜明けた6日、現地ウズベキスタンからリモート取材に応じた。1年1カ月ぶりの実戦で優勝したものの、徹底マークにあって得意技での一本勝ちはなく不完全燃焼の様子。「自分の求めているレベルまで自分がいってなかった。思った動きができなかった」と反省が口をついた。

 昨年2月のGSデュッセルドルフ大会以来の実戦の畳とあって、「緊張はなかったが、試合となると思い切って自分の柔道ができないというか、相手にビビってしまう部分があった」と述懐。最大のライバルであるブシャール(フランス)、ケルメンディ(コソボ)ら有力選手は不在だったが、右釣り手を絞られ、得意な組み手の形をつくれず攻めあぐねる場面が目立った。

 背負い投げ、袖釣り込み腰、内股などの得意技は不発だったが、足技や寝技などの引き出しで打開して見せた。初戦はモンゴル選手に指導3つによる反則勝利。準々決勝は韓国選手に指導2に追い込まれながら、タイミングよく小外刈りで倒して「一本」。準決勝は、ブラジル選手が場外際で技を掛けつぶれた隙を見逃さず、関節技の腕がらみで「一本」を奪った。

 冷静に戦局を見ながら攻略したように見えたが、気持ちを切り替えた決勝が不戦勝になったことも相まって、阿部自身は不満の様子。「今までみたいにスッキリと投げて勝つことはできなかったので悔しい気持ちがたまった」と首をかしげ、「一番うまくいったときが10だとしたら5割くらい」と自己採点した。

 ただ、コロナ禍で制約がある中で1年ぶりの実戦機会を得たことは収穫。「こういう状況で試合できたことがありがたい。内容は全然満足いかなかったが、やっと試合できた喜びと、課題を見つけられたので、五輪に向けてさらに強くなれると感じた試合だった」とうなずいた。

 実戦を通じて組み手や戦術での課題を見いだし、全世界から警戒、研究されていることも肌で感じたという。「練習じゃ感じられない圧や、投げられるんじゃないかという恐怖を感じて動きが止まったり、自分の技に入れないことがあった。それ(試合の雰囲気)をどう練習でつくっていくかが大切」。今夏までのプランニングは未定だが、「五輪に向けて気持ちを整えるために、もう1試合は積みたいかな」と語った。

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