京都成章が初V王手 ピラニアタックルで東福岡撃破、先輩たちの思い胸に雪辱果たす

 「全国高校ラグビー・準決勝、京都成章24-21東福岡」(5日、花園ラグビー場)

 準決勝2試合が行われ、京都成章(京都)が伝統の守備力を発揮して24-21で優勝6度の東福岡(福岡第1)に競り勝ち、初の決勝進出を決めた。史上最多の63校で争われた第100回記念大会決勝戦は9日午後2時5分から行われる。

 魂のタックルを突き刺した。トライを奪われれば逆転負けとなるラストプレー。ライン際をビッグゲインする東福岡WTB西端玄汰(3年)に京都成章FB小林修市(2年)が襲いかかった。タッチに相手を押し出した瞬間、ノーサイドの笛が吹かれ、京都成章初の決勝進出が決まった。

 「焦ったけど、走らないと思って」と小林は振り返る。体に染みついたタックルの意識。チーム伝統の守備力はこの試合でも健在だった。

 「ピラニアタックル」。湯浅泰正監督(56)がそう呼ぶタックル戦術。獲物を見つけたら複数で襲いかかり、つかまえたら絶対に離さない。複数人がタックルに入るため、失敗した時のリスクは大きく、仲間のカバーへの信頼がなければできない戦い方だ。「子どもたちの努力がすべて。先輩たちが残してくれたものも大きかった」。指揮官は過去12回の花園での歩みを振り返り、勝利をかみしめた。

 東福岡に苦杯をなめた先輩の言葉も響いた。4年前の準々決勝で東福岡に22-28で逆転負けしたOBで日大主将の藤村琉士らが4日の練習を訪問。「俺たちは守りに入って負けた。最後まで前に出ろ」。前半の5点リードにも気持ちは緩まなかった。

 戦後、京都勢では伏見工(現・京都工学院)しか達成していない全国制覇。王手をかけたCTB辻野隼大主将(3年)は「成章のディフェンスを決勝でも見せつけて、絶対に優勝します」と力を込めた。ピラニアタックルで京都成章が頂点を目指す。

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