看護師ボクサー・津端ありさ、医療現場から五輪目指す意味

西埼玉中央病院に勤務する津端ありさ(日本ボクシング連盟提供)
練習を公開した津端ありさ(日本ボクシング連盟提供)
練習を公開した津端ありさ(日本ボクシング連盟提供)
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 東京五輪のボクシング女子ミドル級日本代表候補で、現役看護師でもある津端ありさ(27)=西埼玉中央病院=が6日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で特別練習に参加した。医療現場の最前線で働く津端が練習環境に苦心していることから、日本ボクシング連盟が個別に練習機会を設けたもので、日本代表コーチのウラジミール・シン氏らが約2時間指導した。津端にとっては通常の代表合宿とは違い、孤軍奮闘の練習となった。

 練習後にオンラインで取材に応じた津端は、普段は勤務の合間に病院の体育館で練習していることを明かし、「サンドバッグとかリングを使った練習がまったくできてなかったので感謝している」と笑顔。日勤8時間、夜勤15時間という通常勤務をこなす日々で、先月末の日本代表合宿(富山)も、終了翌日から職場に復帰した。「練習は仕事の休みを使わせてもらってやらせてもらっているが、(職場の)周りの人が調整してくれている。看護師もボクシングもできているのは周囲の協力があってこそ」と頭を下げる。

 五輪延期によって再び手にしたチャンスだ。今年3月のアジア・オセアニア予選(ヨルダン)は初戦で敗退。世界最終予選(5月、パリ)への派遣は、国際大会での経験不足などで見送られた。しかし、5月の同予選は中止となり、五輪も1年延期。そこで津端の伸びしろに期待した日本連盟が、改めて来年5、6月に行われる世界最終予選へ派遣する方針に変更し、五輪への可能性が残った。

 一方、医療現場にいるからこそ、五輪開催への不安もある。「看護師同士や医者と(五輪開催は)どちらかというと難しいのかなという話はよくしている」と言うが、それでも「五輪を目指す競技者としてそれを考えてしまうとモチベーションが上がらない。考えずに練習するようにしている」と自分を奮い立たせている。

 今後も休日を利用して同様の個別練習が行われる。体力的にも厳しい医療現場との二足のわらじを「私の場合は看護師として働きながら(五輪を)目指すことに意味があると思う」と津端は言う。「医療現場のスタッフの方々や患者さんに五輪に出ている姿を見てもらって、それがみんなの励みになったり、楽しさを感じることにつながってほしい」と、“看護師ボクサー”はひたすら前を向いている。

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