コロナ禍東京五輪「予定通り」強調に嫌気 国内外で冷め切る機運 五輪マーク風刺も

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、開幕まで5カ月を切った東京五輪の開催が不透明な状況となる中、「予定通り」の開催を主張し続ける国際オリンピック委員会(IOC)、組織委員会、日本政府に反発する声が挙がり始めた。各種世論調査でも7割近くが予定通りの開催はできず、延期か中止という見方が広がっている中、大会への機運は急速に冷め始めている。

 17日に臨時理事会を開催したIOCは、その後、夏季の主要競技連盟と会議をした後、公式声明を出し「大会まで4カ月以上あるこの時期に、重要な決断をくだす必要はない」と、予定通りの開催を改めて強調した。世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」を宣言した後も、IOC、組織委、日本政府は通常開催を主張し続けている。ただ、先行きが不透明な中での“強行”姿勢に、反発の声が大きくなり始めた。

 2014年ソチ冬季五輪のアイスホッケー女子でカナダの4連覇に貢献し、国際オリンピック委員会(IOC)委員を務めるへーリー・ウィッケンハイザー氏が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪を予定通り開催することは「無神経で無責任な行為。この危機は五輪よりも深刻だ」と自身のツイッターで非難した。また、英BBCはスペインオリンピック委員会のアレハンドロ・ブランコ会長が「最も重要なことは選手達が練習することができず、計画どおりに大会に出るには不平等な状況にあることです。開催まで4カ月。選手達を公平に開催地に送ることができない」と、延期を希望したことを報じた。

 海外選手からも不満の声が出始めている。16年リオ五輪の陸上女子棒高跳び金メダリストのエカテリニ・ステファニディ(ギリシャ)は、「IOCは練習を続けさせることで私たちや家族の健康、公衆衛生を危険にさらしたいの?」と自身のツイッターで怒りを表明した。また、英紙「ガーディアン」電子板は、陸上の欧州インドア選手権などで主将を務めた800メートル代表候補のガイ・リアマンスが「現在の状況からどれだけ悪くなるか、私たちには分からない。これまで見たことは氷山の一角かもしれない」と現状を憂い、「もちろん五輪の成功を望んでいるが、それを実現するためにはイベントを延期する必要があると強く信じている。主催者が通常通り実施することを保証できない限りは」と、延期を訴えたことを報じている。

 国内外の世論も厳しい見方を示しており、各種世論調査では7割前後が延期、中止を予想している。海外では五輪のロゴを風刺した画像がネット上で出回っており、5つの輪が重なることなく一定の間隔で並び、「OLYMPIC GAMES TOKYO 2020」の下に「SAFETY DISTANCE(安全な距離をとろう)」と書かれている。

 AP通信は17日、「2021年の東京五輪に備えましょう」というコラムニストの記事を配信した。

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