トンプソン「日本でここまで…感謝の気持ちでいっぱい」惜別のキックも披露
「ラグビー・トップチャレンジリーグ、近鉄74-0栗田工業」(19日、秩父宮ラグビー場)
引退試合に臨んだW杯日本代表ロックのトンプソン・ルーク(38)が、フル出場で勝利に貢献。2部相当のトップチャレンジリーグでは異例の、1万4599人の大観衆の歓声を一身に浴びて、優勝で有終の美を飾った。
観衆がひときわ沸いた瞬間が後半32分に訪れた。トライ後のゴール正面からのゴールキック。ボールをセットしたのがトンプソンだった。緊張混じりに決めたトンプソン。試合終了間際には右45度の難しいキックにも挑んだが、これはコースは良かったが距離が届かなかった。直後に試合終了のホイッスル。これが現役最後のプレーになった。
ロックのマイケル・ストーバーク主将は「ラグビーでは伝統的に、引退する選手にゴールキックを蹴らせる。(トンプソンは)最初のキックをミスしたら終わりでしたが、決めたので、2回目のチャンスを与えた。ほとんど決まっていたが、距離が足りなかったね」と解説した。
試合中はボールを持つたびに、W杯でのリーチコールのように「ルーーーク!」とコールが響いた。後半途中から、トンプソンへの「トライ!」というコールが響いた。同33分にはトライ寸前までいったが。反則による無情のホイッスル。幻のトライにブーイングが響いた。ロスタイムにはゴール前絶好の位置でパスを受けたが、狙わずに即座に味方に渡す。ファンの少しがっかりした声も上がったが、最後までチームプレーに徹したところがトンプソンらしかった。
「(トライを)やりたかったけど、(足が)遅い。10年前ならチャンスあったけどね」と苦笑いする。「日本でラグビーをここまでできたこと、日本代表になったことにも感謝の気持ちでいっぱいですし、光栄です。そこに貢献できた。仲間、コーチ、応援してくださったファン、サポートしてくれた家族に対して感謝の気持ちはいっぱい。言葉にならない」。熱い言葉を残して、鉄人が現役生活を終えた。




