高橋大輔“不屈の魂”SP最悪14位でも魅せた「あと10年若かったら」

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、代々木第一体育館)

 世界選手権(来年3月・モントリオール)代表選考会を兼ねて行われ、男子ショートプログラム(SP)で、4年ぶり出場の羽生結弦(25)=ANA=が110・72点で首位に立った。3連覇中の宇野昌磨(22)=トヨタ自動車=は105・71点で2位。高橋大輔(33)=関大KFSC=は65・95点で14位となった。

 ボロボロだった。ジャンプは冒頭の連続3回転こそなんとか着氷させたが、トリプルアクセルは両足着氷になり、最後の3回転ルッツは大きく乱れた。スピンはレベルを取りこぼし、最後のステップの終盤は息が上がって、足もついていかない。はいつくばる形でのフィニッシュ後、苦しそうに顔をゆがめた。

 高橋大輔、最後のSPは14度目の出場で最低順位となる14位。「出来としては最悪。悔しい。あと10年若かったら」。自嘲気味な笑みで振り返った。

 それでもその演技には、見る者の心を打つ何かがあった。SP「The Phoenix(ザ・フェニックス)」のテーマは新たな出発。近年選んでこなかった息つく暇もないアップテンポなハードロックを船出のプログラムに選んだ。サビはこう呼びかける歌詞で始まる。

 「なあ、若い奴ら。感じるだろ?」-

 11月に左足首を負傷。その後はどこかをかばえば、違う箇所が痛くなった。アイスダンス転向を発表したことでモチベーションの持ち方にも苦労した。そんな苦悩をも円熟の味として表現してしまうのがこの男らしい。

 全身全霊の滑りで表現力を示す5項目の構成点では、羽生、宇野に続く3番目のスコアをマーク。会場では翌日フリーを控える女子の紀平梨花や宮原知子ら関大を拠点にする後輩たちが、その姿を目に焼き付けていた。

 シングル最後の演技となる22日のフリー。「今日に限っては何も伝えられなかった。フリーでなんとか挽回できれば」。残る力の全てを振り絞って、高橋大輔というスケーターの生きざまを氷に刻む。

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