トランポリン・森ひかる 日本人初の金メダルで五輪決めた「マジッて感じ」

金メダルを手に笑顔の森ひかる=有明体操場
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 「トランポリン・世界選手権(1日、有明体操競技場)

 男女個人決勝が行われ、女子はW杯ランキング3位の森ひかる(20)=金沢学院大ク=が55・860点で日本トランポリン界男女通じて初となる個人での金メダルを獲得した。森は来年の東京五輪代表に内定した。土井畑知里(25)=三菱電機=が55・225点で銀メダル。日本勢のワンツーフィニッシュとなった。男子では堺亮介(22)=星稜ク=が5位となり、五輪代表に内定した。海野大透(19)=静岡産業大ク=は6位に終わった。

 はじけるような笑顔と、躍動感あふれる喜び方が、トランポリン界のニューヒロインにはよく似合った。得点発表は日本開催らしく和室のようなキス&クライ。最終演技者1人を残してトップに立ち、メダルと五輪切符が確実になると、畳の上を跳びはねてガッツポーズを繰り出した。そして、フロアの隅で見届けた戴冠の瞬間。金メダルが決まると、ピョンピョンと跳びはねて、駆けだした。

 「ビックリしました。まさか。ヤバいです。マジって感じ」

 重圧をはねのけ、世界の頂へ跳んだ。35年ぶりの自国開催に加え、東京五輪本番会場のこけら落とし。女子のエースには大きな期待が懸かっていた。「この1カ月はあまり眠れなかった。勝手に涙が流れたりして…」。それでも逃げず、背負った。「私が絶対に五輪切符を持って帰る!」。決勝では今大会に向けて習得してきた大技トリフィス(前方3回宙返り半ひねり)を2つ組み込んだ構成をしっかりまとめきった。予選から団体も含め全4演技をすべてミスなく通しきった。「エースの仕事はできたと思う」と胸を張った。

 東京都足立区出身。4歳の時に、スーパーの屋上で出合ったトランポリンで、宙を舞う感覚に魅了された。小学4年生の時には左肘を骨折し、「辞めよう」と思ったこともある。高校1年生の時に東京から競技の盛んな金沢の高校に転校。環境になじめず、苦しんだ時期もあった。それでもトランポリンに懸けた日々が実を結んだ。「私は本当に馬鹿だし、何もない。トランポリンしかできない。トランポリンをちゃんと頑張ってきてよかった」。涙はなく、満面の笑みでうなずいた。

 8カ月後、同じ場所で迎える夢舞台。イメージはもう出来上がった。「最高の演技をして、メダルを持って帰ります」。“ジャンピング・シンデレラ”が紡ぐストーリーは、胸弾むクライマックスへと突入する。

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