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【東京へ駆ける・宗猛氏】MGC4強は紙一重 “一発選考”はメンタル面の勝負

 東京五輪の男女マラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ」(MGC)は、15日に東京・明治神宮外苑発着コース(男子8時50分、女子9時10分スタート)で行われる。男女の五輪代表枠は各3で、2位以内で代表に内定する“一発選考”の要素が取り入れられたレースには男子31人、女子12人が出場。1984年ロサンゼルス五輪男子マラソンで4位に入賞し、一発選考の経験もある宗猛氏(66)=旭化成陸上部総監督=に注目のレースの展望や予想を聞いた。

  ◇  ◇

 -日本記録保持者の大迫(傑=ナイキ)、前日本記録保持者の設楽(悠太=ホンダ)、昨年のジャカルタアジア大会を制した井上(大仁=MHPS)、昨年12月の福岡国際優勝の服部(勇馬=トヨタ自動車)が4強とみられている。“一発選考”だけに、けん制などでレースが動きにくいことも予想される。

 「本命視される大迫、設楽、井上、服部あたりがレースをどう読むか。言えるのは、こういう形のレース経験が誰にもないということ。このようなレースをどう捉えて走るか、が一番大きいのではないでしょうか」

 -ポイントは。

 「スタート地点にいかにフレッシュな状態で立てるか。どれくらい強い気持ちで走れるか。レースには数少ない分岐点があると思うので、どう瞬時に読み取れるかですね」

 -最終的に選手に求められるものは。

 「メンタル面が強くないとだめでしょう。ノーマークの選手に関して言えば『本命を抑えて一発ひっかけてやれ』と思うわけで、プレッシャーが少ない。スルスルと上がってくる可能性もあるのではないかと」

 -ペースメーカーがいないことで展開に違いが出てくるか。

 「本命視されている選手の中で、いくとすれば設楽でしょう。どこのタイミングでスパートするか。最後までいけば大迫や井上らにキレがある。ラスト勝負になれば分が悪いと考えたら、どこかで設楽が仕掛ける可能性はあるなと」

 -設楽がいくと。

 「あくまでも(服部を含めた)4人でレースをしている場合です。ほかの選手もたくさんいるし、設楽からすれば『誰かがいってほしい』という考えもあると思います」

 -ペースメーカーがいないレースにおけるポイントは。

 「いつ、どこで、だれが仕掛けるか、普段のレースよりも頭を使います。展開を読みながら走ることになります。一番エネルギーを使うのは頭。ある程度、頭を使いながら走らなければいけないので、普段よりもスタミナ切れが早くくる可能性があります」

 -男子の出場者は31人と少ない。

 「たとえ1000人で走っても、先頭グループは30人ぐらいになるものです。国内の普通のレースと同じ、と考えればいいのではないでしょうか」

瀬古と兄弟で

 -宗さんはロサンゼルス五輪の代表選考会だった83年12月の福岡国際で4位になり、代表をつかんだ。一発選考を経験しているが、心がけたことは。

 「そのときは瀬古(利彦)、ぼくら(茂との)兄弟の3人が本命。冒険はできなかったです。常に状況を見ながら『今何人残っている』と計算しながら走っていました。『ここだと間違いない』という状況までいかないと、なかなか出られなかったです」

 -4強以外に面白そうな選手はいるか。

 「山本憲二(マツダ)。条件が悪いと力を発揮するタイプです。あとは大塚祥平(九電工)。暑いのが大好きですから」

 -4強の中で特に強いと思うのは。

 「大迫は寒さには弱いみたいですが、暑さに対してはそうでもないと思います。(今年3月の)寒い東京はリタイアしたけど、(17年4月の)ボストンは高温の中で走っていますので」

 -大迫以外の3人については。

 「井上も暑さに強い。アジア大会できちんと走っていますから。設楽もそこまで暑さを気にしない感じがします。服部は発汗量がすごく多いし、給水にも相当気を使っています。そこまで暑さに強くないのでは」

 -暑さへの強さで言えば大迫、設楽、井上だと。

 「でも紙一重ですよ。優勝タイムが(2時間)6分台なら大迫らが有利でしょうけど、どう考えても12、13、14分…、下手をすればもっとかかるかもしれません。(自己ベストが)8~9分の選手であれば、みんなチャンスがあります」

 -2位以内で代表に内定するため、2位に入れば…と思っている選手もいるかと。

 「佐藤悠基(日清食品グループ)はノーマークでプレッシャーがないから、割って入る可能性もあります。彼が動いたときはレースが大きく動くときでしょう」

 -有力候補は4強に加え、山本憲、大塚、佐藤あたりと。

 「岡本直己(中国電力)も(昨年8月の)北海道できちんと走っていますし。鈴木健吾(富士通)も暑さに結構強い。今井正人(トヨタ自動車九州)も一発狙ってくるでしょう」

 -女子は。

 「一番面白いのは鈴木亜由子(日本郵政グループ)でしょう。本命だと思います。スピードもあるし、暑い中でもひょうひょうと走っています」

 -あとは。

 「野上恵子(十八銀行)。(銀メダルだったジャカルタ)アジア大会で、きちんと走っています。一山麻緒(ワコール)は若いし、うまく走れば期待は持てます」

 -女子の出場者は12人とかなり少ない。

 「メチャクチャスローペースになったら、みんなにチャンスはあります。女子の場合、1キロ4分とか、5キロ20分とかもあり得る。だとしたらついていけるはずだし、最後の4~5キロの勝負になったら、誰が入ってくるか分かりません」

 -本命視されている選手がMGCで結果を出せず、最後の1枠を争う可能性もある。その場合、男子で言えば、その後の対象大会で派遣設定タイムの2時間5分49秒をクリアしなくてはいけない。突破できなければMGCで2枠に入らなかった次点が内定するが。

 「2時間5分49秒で走ることは、MGCで3番に入るよりはるかに難しい。MGCで落とせば可能性は限りなくゼロに近いと思った方が…」

 -それだけMGCの重要度は高い。

 「勝たなくてもいいから3番に入ること。最後に3人に絞られたら後ろを見ながら、という感じになるでしょうね」

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