貴景勝“家族で歩んだ力士道” 父・一哉さん「一日千秋の思い」

 日本相撲協会は27日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で夏場所(5月12日初日、両国国技館)番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=の大関昇進を満場一致で決めた。大阪市内のホテルで行われた伝達式で、貴景勝は「武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず相撲道に精進」と口上を述べた。平成最後の新大関となり、磨き上げた押し相撲で横綱を目指すことを宣言した。

 父・一哉さん(57)は「大関!!」と声をかけ、貴景勝を照れ笑いさせた。愛息に代わり「一日千秋の思い」と四字熟語を使用。「子供の頃から夢を見てきた瞬間。感無量」と喜びを爆発させた。

 小3から相撲一本に転向した貴景勝をスパルタで鍛えた。腕立て500回。周囲が心配しても父は「限界手前までやる。虎の子を預かってる以上、虎にしないと」と見極めた。

 父子二人三脚。休日には朝4時に出発し、広島、三重などへ出稽古。ただ稽古以上につらいのが増量だった。

 1回の食事が450グラムハンバーグ3枚、牛丼特盛り3杯など。家では鍋。父がわんこそばのように皿に盛り続けた。毎日肉1キロ。食費は月30万円に達した。

 小3時の貴景勝は30キロ。細身のかわいらしい顔だった。小学校低学年時は運動神経抜群で俊足。クラス内で「ちやほやされていた」と言う。それが1年で約20キロずつ増え、6年で85キロ。「まわりは『どうしたん?』って。足も遅い方になった」。

 高級住宅街では異様な父子。「隣近所で白い目で見られていた」と父は言う。周囲から「(プロなんて)ダメ、無理」と言われ続けた。父は「ダメじゃない、お前しかできない」と愛息に言い続けた。そしてついに大関。見返した。さらに「富士山でいえば、雲の上でしたけど見えてきた」と横綱を見据え、期待をかけた。

 母・純子さん(52)も「感謝という言葉を(口上に)使ってくれた。立派に育ってくれた」と感激。今場所中は苦しそうな愛息を心配し連絡。「大関になる」と短く返信があった、という。幼少期はやんちゃで心配しっぱなしだった。「(多くの人に)守ってもらっていることを分かってくれた」と、人間的な成長がうれしかった。

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