大相撲春場所（２４日千秋楽）で大関昇進を決めた関脇貴景勝（２２）＝千賀ノ浦＝が２５日、大阪府東大阪市内で一夜明け会見し、２７日の昇進伝達式での口上に関し、自身を救ってきた言葉を盛り込むことを明かした。平成以降の大関で身長１７５センチは最小。大きな相手に突き押し一本、根性で立ち向かってきた。その「志」を貫き横綱を取ることも宣言した。新元号で新大関と角界新時代の看板。２７日の臨時理事会と夏場所（５月１２日初日、両国国技館）の番付編成会議を経て、正式に誕生となる。

　精根尽き、貴景勝は一夜明けてもまだ疲労困ぱいだった。「もう少し疲労を抜きたい気持ちと、本当にほっとした気持ち。よく体、精神がもってくれたな」

　場所前から大関とりを公言。重圧をあえてかけ、自身との戦いに勝ち切った。千秋楽、かど番の栃ノ心との前代未聞となる“大関入れ替え戦”。ギリギリの勝負を制した瞬間、「体の全身の力が抜けて重くなるような感覚」に陥った。

　兵庫県芦屋市出身。“準ご当所”の大阪で大関を決めた。負けた時、自身の応援グッズを持った子供が花道で「シュンてなっていた」のを見て奮起した。「何としても最後、勝つ」。大声援に応えたことが喜びだった。

　２２歳、これがゴールではない。「力士だったら次の番付（横綱）を目指すことが当たり前。そういう気持ちでいかないと大関は張れない。さらに上を目指して日々やっていく」。横綱を目指すことが自身の大関像だ。

　伝達式で恒例の口上は「ある程度は決まっています」とした。先代師匠の元貴乃花親方は「不撓不屈」（大関）、「不惜身命」（横綱）と四字熟語が話題となった。貴景勝は「自分が志す言葉、救われてきた言葉を言いたい」と明かした。

　平成以降の大関で最小の１７５センチ。幼少期より「コンプレックス」を抱き、大きな相手に根性で立ち向かってきた。救われた言葉と、貫き続けた志がある。

　「もっとこの相撲を、まわしのとれない、突き放して、突き放して、というのをもっと徹底してやっていく」。突き押し一本をさらに磨き上げ横綱へ－。その思いが込もった口上となりそうだ。