フィギュアのルール改正…どう変わったの? 振付師・宮本賢二氏が解説

 紀平梨花
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 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは、女子の紀平梨花(16)=関大KFSC=の初優勝で幕を閉じた。その紀平らトップ選手が集結する今年最後の大一番、全日本選手権(12月20日開幕、大阪・東和薬品ラクタブドーム)を前に、国際スケート連盟(ISU)にとって新採点システム導入後の最大のルール改正と言われる今季の新ルールを、人気振付師の宮本賢二氏(40)がわかりやすく解説する。

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 今回のルール改正によって「総合芸術」とも呼ばれる競技の特性が、より分かりやすくなったのではないでしょうか。ジャンプの基礎点が下がり、出来栄え点(GOE)の幅が広がったことで、高難度のジャンプを完璧に決めればこれまで以上に加点がつきます。一方で、これまで多少精度が低くても高難度のジャンプを跳べば加点が得られたものが、出来栄えによっては減点のリスクが大きくなりました。難度を抑えてでも、完璧に決められるジャンプを選ぶ傾向も出てきています。

 日本選手で言えば、羽生選手や宇野選手の4回転の美しさはピカイチなのでこの改正は有利に働くでしょう。紀平選手のようなトリプルアクセルを跳ぶ選手が増えた女子も大きな加点が狙えます。逆に宮原選手はトリプルアクセルを入れていませんが、一つ一つの技の精度の高さは、これまでのルールより評価を得られるでしょう。

 後半のジャンプの“ボーナス点”が変わったことも大きな改正点です。これまでのように残り2分ほどの間にジャンプを5、6本も跳べば、1つのジャンプに対する準備時間はどうしても少なくなります。私は元々後半のジャンプは3つくらいがいいと思っていたので、今回の改正でプログラムのバランスがよくなると思います。

 演技時間も変わりました。男子はフリーが4分半から4分になりジャンプが1本減ったことで楽になるのではないかと言われましたが、実はそうではありません。ジャンプ1本は準備も含め約15秒。残る時間に必要な要素がぎっしり詰まった状態で、選手は体力的に厳しくなったようです。

 理由の一つにステップ、ターン、スパイラル、イーグルなど多種類の動きで構成するコレオシークエンスの基礎点が上がったこと(2・0点→3・0点)があります。ここに高い出来栄え点を付加できれば、ジャンプ1本分くらいの得点になる。そのため、イナバウアーやイーグルが苦手だった選手もコレオを重視し、練習時間を割くようになりました。

 今回のルール改正によって、プログラム全体の完成度がより得点に反映されます。ジャンプを磨く、コレオを充実させるなど、それぞれが自分の個性を高めていくことになるでしょう。

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