羽生、アクシデント乗り越えGP初連勝 魂の4回転成功!絶叫「頑張った」

 男子フリーで右足を痛めながらもこん身の演技をする羽生(共同)
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 「フィギュアスケート・ロシア杯・最終日」(17日、モスクワ)

 ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(23)=ANA=はフリーでも1位の167・89点をマークし、合計278・42点で自身初のGPシリーズ連勝を果たし、日本男子単独最多となる通算10勝目を飾った。同日朝の公式練習で転倒して右足首を痛めるアクシデントがあり、痛みに耐えての強行出場。2季ぶりのGPファイナル(12月6~8日・バンクーバー)進出を決めたが、欠場する可能性も示唆した。

 天へ向かって突き上げた左手を降ろすと、崩れ落ちるように羽生は叫んだ。「頑張った」-。右足首を痛めた中での強行出場。冒頭で予定した4回転ループをサルコーに変更するなどジャンプの難度を落として挑み、終盤は転倒などのミスも出た。思わぬアクシデントに見舞われ、それでも王者の舞を完遂。耐え抜いた右足首をポンポンとさすった。

 朝の公式練習。フリー「Origin」の曲中の冒頭で4回転ループに挑んだが、着氷の際に転倒。「いっちゃったな」と瞬時に感じた。しばらく起き上がることもできず、再び滑り出してからもジャンプは1本も跳べなかった。ゆっくりとリンクを滑りながら、本番でのジャンプ構成を考える。オーサー・コーチらと少しだけ言葉を交わし、曲が終わる前に場内にあいさつをして練習を終えた。右足首にアイシングを施し、若干右足を引きずりながら会場を出る。その約5時間後。痛み止めを飲み、患部をテーピングで固め、羽生は再び銀盤へ立った。

 右足首はこれまで幾度となく痛めてきた箇所。昨年のNHK杯の公式練習中にも痛め、平昌五輪まで引きずった古傷だ。診断は3週間の安静。しかし「ここで諦めたくない」「なんとかしてトレーニングの成果を少しでも出したい」と強く思った。敬愛するプルシェンコ氏のふるさとであり、思い入れの強いロシアの地。「何をしたくて、何を削るかを考えた上で、今日しかないと思った」。悪化覚悟で勝負に挑んだ。

 自身初のGP2連勝でGPファイナル進出が決まったが、試合後の会見場には松葉づえで現れるなど状態は思わしくない。「ファイナルについては分からない。全日本も分からない」と羽生が言うように、欠場の可能性も十分ある。12月21日開幕の全日本選手権(大阪)も調整期間を考えるとギリギリ。ただし全日本選手権を欠場すると、3月の世界選手権(埼玉)の自力での出場は消滅する。羽生は一昨年がインフルエンザ、昨年が右足首のケガで全日本選手権を欠場しており、3年連続は避けたいところだ。

 「今日みたいな構成で勝てるとは全く思っていない。足首には良くないことをしたって自覚があるからこそ、本当に考えないといけないなって思っています」。乗り越えてきた幾多の困難。さらに強い羽生結弦となって、王者はきっと銀盤へと舞い戻る。

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